【4月28日 AFP】東日本大震災の被災地で、膨大な量のがれきを片付けるという終わりの見えない作業にあたっている作業員たちを悩ませる別の問題がある。アスベスト(石綿)やダイオキシンによる健康被害だ。

 1万4500人以上が死亡、1万1500人が行方不明となっているなど2次世界大戦後最大の死者・行方不明者を出した東日本大震災。津波の被害を受けた地域には2500万トンのがれきが残された。

 ひっくり返ったトラックや、ねじ曲がった鉄骨、ぼろぼろになったコンクリートの撤去作業にあたる人びとは、発がん性のあるアスベストの粉じんを吸い込まないよう、マスクなどでできるだけの努力はしている。

 断熱や防火の目的で数十年にわたって使われてきたアスベストは、呼吸によって容易に体内に入り込んで肺がんの原因になるため、現在では世界の大部分で使用が禁止されている。

 読売新聞(Yomiuri Shimbun)によると、被災地入りするボランティアの増加が予想されるゴールデンウィークを前に、厚生労働省は作業員らの健康対策立案のための専門委員会を設置する方針を固めた。

 また大量に発生した木のがれきも、処理方法によっては健康被害をもたらす恐れがある。仙台市環境局の小林陽一(Yoichi Kobayashi)氏は、「木材のがれきは3万トンを超えるとみられるが、そのまま燃やしてしまうとダイオキシンが発生する恐れがある」と語る。

 仙台市では、タイヤや家電、金属のスクラップなどをリサイクルするほか、津波でなぎ倒された松の木を木材パルプ工場に送り、有効活用する予定だという。(c)AFP/Harumi Ozawa