【12月26日 AFP】人間にとって致命的な病気を媒介する蚊にある細菌を感染させると、病気の感染拡大を抑制できる可能性があるという研究結果が、24日発行の米国科学雑誌「セル(Cell)」に掲載された。

 研究を行ったのは豪クイーンズランド大学(University of Queensland)のスコット・オニール(Scott O'Neill)氏が率いる研究チーム。

 ミバエから抽出した細菌の一種「ボルバキア(Wolbachia)」を、病気を媒介するある種の蚊に感染させると寿命が半減することは過去の研究で知られていた。今回の研究では、ボルバキアに感染した蚊は寿命が短くなるだけでなく、デング熱やチクングニア熱、鳥マラリアなどの病原体に感染しにくくなることが分かったという。

 研究チームは人工的にボルバキアに感染させた蚊を自然界に放てば野生の蚊に感染を広められるとみている。現在は屋内実験を行っており、1~2年以内に屋外で実験を行いたい考えだ。

 ボルバキアは自然界に広く存在する細菌で全昆虫の約60%に感染していると見積もられている。(c)AFP