【5月17日 AFP】米シカゴ大学(University of Chicago)の研究チームは16日、老後の健康維持に年齢はあまり関係なく、肥満もさほど問題ではないとする研究論文を発表した。孤独や絶望感、骨折などの要因の方が、むしろその後5年以内に死亡するリスクを高める可能性があるという。

 米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文によると、研究チームは、57~85歳までの米国人3000人を対象に調査を行った。その結果、このうちの22%が、重度の肥満や高血圧にもかかわらず「健康」の定義に合致していることが判明。「最も健康な人々は、太っていて丈夫だった」という。

 こうした人々は、臓器系疾患が少なく、運動機能や感覚機能、精神的な健康状態も他の人々より優れていた。また、5年以内に死亡したり行動できなくなったりするリスクが最も低かった。

 研究チームはまた、こうしたリスクが2倍になるグループも特定した。

 このグループには、体重は標準的だが、甲状腺疾患や貧血、潰瘍、45歳以降の骨折、精神疾患など、鍵となる健康問題を抱えている人が含まれていた。

 最も不健康だったのは、糖尿病や高血圧を放置している人々で、その一部は、歩行や日常生活で困難に直面していた。

 論文の共同執筆者である同大学のエドワード・ラウマン(Edward Laumann)氏は、「肥満を嘆かわしい健康状態だとして改善することに焦点をあてた政策ではなく、孤立する高齢者の孤独を解消し、感覚機能の回復を支援する方が、高齢者の健康と福祉の向上には効果的」だと語った。

 論文は、55歳を超える人々の死因の24%はがんだが、「がんは、臓器系疾患に関係なく発症するとみられる」としている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN