【11月6日 CNS】都市の発展には、産業の成長と変革が欠かせない。

中国では近年、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)と重慶市(Choangqing)が、国内総生産(GDP)で全国4位の座をめぐって激しく競い合っている。

2026年上半期のGDPでは、広州が重慶を657億1700万元(約1兆5441億円)下回った。しかし、同年第1四半期には、広州が前年同期比6%の成長率を記録し、重慶から全国4位の座を一時的に奪い返していた。

こうした両都市の経済競争において、自動車産業の動向が重要な要素となっている。

最近では、両都市の自動車産業をめぐって新たな動きが相次いだ。10月8日には中国第一汽車集団(FAW Group)と広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)が新たな提携に向けて動き出した。また、それに先立ち、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、Huawei)と重慶の自動車メーカー、賽力斯汽車(セレス、Seres)の協力関係にも調整が見られた。

これらの動きは、中国の自動車産業が成長モデルの転換期にあることを示すとともに、広州と重慶がそれぞれ自動車産業の競争力強化を進めていることを反映している。

両都市はいずれも中国有数の自動車産業集積地だが、ここ数年の成長には違いが見られる。

2024年、広州市の一定規模以上の自動車製造業の付加価値額は前年比18.2%減少し、自動車生産台数も20%減少した。長年にわたり「中国最大の自動車生産都市」として知られてきた広州は、新エネルギー車への転換で苦戦を強いられた。

一方、重慶市では2025年の自動車生産台数が前年比9.7%増の278万8000台に達し、数年ぶりに国内首位に返り咲いた。特に新エネルギー車の生産台数は同36%増の129万6000台となり、自動車産業クラスターの規模は8000億元(約18兆7976億円)を超えた。

こうした自動車産業の成長の違いは、両都市のGDP順位にも影響を与えた。

しかし、2026年第1四半期には再び変化が見られた。広州市の新エネルギー車生産台数は前年同期比36.1%増の14万5500台に達した。自動車製造業の付加価値額も同5.5%増となり、2024年以来初めて累計成長率がプラスに転じた。

一方、重慶市の新エネルギー車生産台数の伸び率は9.7%となり、前年同期から鈍化した。

広州の自動車産業が回復に転じた背景には、地元の新エネルギー車メーカーの成長がある。広州の自動車産業はこれまで、広汽本田(広汽ホンダ)と広汽豊田(広汽トヨタ)の2つの合弁企業に大きく依存してきた。そのため、新エネルギー車への転換では一時的に対応が遅れた。

しかし近年、広汽埃安(GAC Aion)や小鵬汽車(XPeng)などの地元メーカーが成長し、従来の合弁企業中心の産業構造から、自主ブランドの新エネルギー車を中心とする構造への転換が進んでいる。

さらに注目されるのが、企業間の資本提携の動きだ。

10月8日、中国第一汽車集団、トヨタ自動車(Toyota Motar)、広州汽車集団の3社は、新たな戦略的協力枠組み協定を締結した。

この協定では、広汽集団が新株発行を通じて、一汽が保有する一汽トヨタの株式50%を取得する計画が示された。これにより、中国一汽は広汽集団の重要な戦略的株主となる見通しだ。

広州にとって、この動きは資本関係を通じて一汽トヨタを広汽グループの事業体制に組み込み、既存の合弁事業の基盤を維持しながら、新エネルギー車への転換に必要な時間と経営資源を確保する狙いがあるとみられる。

一方、重慶の自動車産業も成長を続けているが、新たな課題が浮上している。

重慶に本拠を置く自動車メーカーの賽力斯汽車は、2026年上半期に親会社株主に帰属する純損益が17億1700万元(約403億4434万円)の赤字となった。前年同期は29億4100万元(約691億467万円)の黒字だった。

報道によると、賽力斯は華為との協力モデルに基づき、過去4年間にわたり、共同ブランド「問界(Aito)」の車両を販売するたびに、技術ライセンス料や部品調達費、販売チャネルの利用料などを華為に支払ってきた。

9月末から10月初めにかけて、両社の協力関係をめぐって一時的な見直しと再調整が行われた。こうした動きの主な背景には、利益配分をめぐる問題があったとの見方が広がっている。表面的には企業間の契約をめぐる問題だが、重慶の自動車産業にとっては、産業チェーン全体で生み出される利益をどの企業がどの程度確保できるかという重要な課題を浮き彫りにしている。

広州と重慶のGDP全国4位をめぐる競争に話を戻すと、自動車産業は両都市の経済成長を左右する重要な要素だが、長期的な競争力を決めるのは産業構造の違いだと考えられる。

広州の強みは自動車産業だけではない。同市のGDPに占める第2次産業の割合は24.1%にとどまる一方、第3次産業は74.9%に達している。製造業とサービス業が共存する産業構造を持ち、消費が経済成長をけん引する時代には、景気変動への対応力が比較的高いとされる。

一方、重慶の強みは、製造業を中心とした産業基盤の厚さにある。長安汽車(Changan Automobile)や賽力斯をはじめ、従来のガソリン車からスマート電気自動車まで、幅広い分野を支える自動車産業のサプライチェーンが整っている。

一汽と広汽の資本提携や、華為と賽力斯の協力関係の調整は、両都市の長期的な競争を示す最近の事例といえる。自動車産業の成長はGDP順位に直接影響するものの、今後の両都市の経済発展を左右するのは、単年度の自動車生産台数だけではない。

産業構造の高度化をいかに早く進め、自動車産業に続く新たな成長分野を育成できるかが、長期的な競争力を決める重要な要素となる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News