【11月3日 AFP】北朝鮮は3日、暗号資産(仮想通貨)交換業大手バイナンスから60億ドル(約9500億円)超の資産が盗まれた事件に同国が関与したとする米連邦捜査局(FBI)の主張を非難した。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹で、強い影響力を持つ金与正(キム・ヨジョン)党総務部長は「重大な政治的挑発」だと反発した。

金与正氏は3日、国営朝鮮中央通信(KCNA)を通じて談話を発表した。北朝鮮が昨年のバイビットへの大規模ハッキングに関与したと米国が以前にも主張していたことを挙げ、FBIの主張は「ばかげた言説であり、目新しいものではない」とした。

「世界各地のサイバー犯罪が全てわれわれの仕業であるかのように米国が国際世論を誤導しているのは、朝鮮民主主義人民共和国に対する重大な政治的挑発だ」と金与正氏は述べた。

FBIは10月31日、北朝鮮系のハッカー集団「トレーダートレーター」が今回のハッキングに関与したと発表していた。

トレーダートレーターは、昨年2月にバイビットから15億ドル(約2400億円)が盗まれた事件にも関与したとされる集団だ。同事件は、今回のバイナンスの事件が起きるまで、暗号資産の窃取事件として過去最大だった。

「これは朝鮮民主主義人民共和国の国際的イメージを傷つけ、その尊厳と国威を損なおうとする陰険な企てであり、朝鮮民主主義人民共和国の主権に対するさらなる重大な侵害だ」と金与正氏は非難した。

さらに、「サイバー空間でのあらゆる悪意ある行為に断固反対するのが、朝鮮民主主義人民共和国政府の一貫した政策的立場だ」と付け加えた。

バイナンスは、1日当たりの取引高で世界最大の暗号資産交換業者だ。ハッキング被害が伝えられると、10月30日には主要な暗号資産の大半が急落した。

FBIが10月31日に声明を発表した後、ドナルド・トランプ米大統領は北朝鮮の関与に疑問を呈した。

トランプ氏はフロリダ州の私邸で記者団に対し、「心配していない。今、(事態を)把握しつつある。北朝鮮かどうかは分からない」と語った。

トランプ氏は大統領に返り咲いて以降、核を保有する北朝鮮に繰り返し働き掛けており、今年中に金正恩氏と会談する用意があるとも表明していた。

しかし、北朝鮮はこうした姿勢に沈黙を続けている。

金与正氏は談話で、今回の新たな主張は「米国の朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視姿勢を改めて確認させた」と指摘し、「非常に不快な米国の敵視姿勢に関して、われわれにはさまざまな面で再考すべき問題がある」とした。(c)AFP