労働新聞(c)news1
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【11月02日 KOREA WAVE】北朝鮮が戦時に偽情報を繰り返し拡散し、韓国政府の統制力や米韓同盟への信頼を揺さぶる可能性があるとして、韓国国防研究院(KIDA)が警戒を促した。「韓国の政権中枢が逃亡した」「軍の指揮系統が崩壊した」「米国は韓国を支援しない」といった情報は、全て虚偽でも、不安や疑念を広げるだけで攻撃の目的を達成する可能性がある。同院安全保障戦略研究センターのキム・ユンジョン上席研究員が、最近公表した報告書「真実性の錯覚効果と認知戦――繰り返されるうそはいかに武器となるか」で指摘した。

報告書は、北朝鮮が軍事攻撃やサイバー攻撃、心理戦、偽情報を組み合わせ、韓国政府の統制力や米韓同盟への信頼を揺さぶる可能性を指摘した。想定される偽情報として、韓国政権中枢の逃亡、軍指揮系統の崩壊、首都圏の甚大な被害、米国の不介入、金融・通信網のまひなどを挙げた。

こうした攻撃の核心にあるのが「真実性の錯覚効果」だ。うそでも繰り返し耳にすると親しみを感じ、その親しみやすさから事実のように受け止めてしまう心理現象を指す。報告書が引用した2026年のメタ分析では、182件の研究を検討した結果、繰り返し接することで情報を真実と判断しやすくなる効果が確認されたという。

戦時には作戦上の機密保持や事実確認のため、政府や軍が直ちに情報を公開できない場合がある。北朝鮮がこの空白を突いて偽情報を先に流せば、公式発表に先立って虚偽の主張が世論に浸透しかねない。攻撃の成功に、人々がうそを信じ切ることは必須ではない。同じ疑惑を繰り返して「もしかしたら事実ではないか」という疑念を残し、政府や軍を絶え間ない釈明に追い込むだけでも効果を得られる。

報告書はロシアの事例を挙げた。ロシアはウクライナ侵攻前から、ウクライナの「攻撃性」や欧米の責任を強調。「集団虐殺の防止」「非ナチ化」という侵攻の名目も、それ以前から繰り返していた。米国が支援する生物兵器研究施設がウクライナにあるとの疑惑も繰り返し提起した。国連が関連する生物兵器計画を把握していないと説明しても主張を続け、疑念を残そうとしたと分析した。

対照的にウクライナは、予想される偽情報を事前に警告する戦略を取った。ゼレンスキー大統領の偽の降伏映像が出回る可能性を知らせ、実際にディープフェイク映像が流れると本人が反論した。大統領が首都キーウにとどまる姿を公開したのも、指導部逃亡説への対応だった。

キム・ユンジョン氏は韓国軍にも、拡散後の釈明にとどまらない先手の対応を求めた。政権中枢逃亡説や米国不介入説などを整理し、あらかじめ注意を促す「プレバンキング(事前の予防的反論)」が必要だとした。偽情報が発生した際には、確認済みの事実と不確かな内容を区別し、虚偽と判断した根拠や次の公式発表時刻まで迅速に伝える手順を提言。同じ主張が複数のSNSやメディアを巡る経路の追跡や、軍事攻撃と偽情報拡散が同時に起きる状況を想定した訓練も求めた。

一度反論して終わるのではなく、確認された事実を一貫して伝え、国民の信頼を維持することが戦時の認知戦では重要だと強調している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News