2025年の放火容疑者の犯行動機(c)MONEYTODAY
2025年の放火容疑者の犯行動機(c)MONEYTODAY

【11月01日 KOREA WAVE】韓国で個人的なトラブルを理由とする放火事件が相次ぐ中、放火容疑者の5人に1人以上が対人関係のもつれや怒りのはけ口、敵意を動機に犯行に及んでいたことが分かった。専門家からは、犯行前の危険な兆候を早期に把握して介入するとともに、出所後も再犯の危険がある人を継続的に管理できる制度が必要だとの声が上がっている。

MONEYTODAYの取材によると、20日にソウル市江南(カンナム)区駅三洞(ヨクサムドン)の建物2カ所に火をつけ、19人を負傷させた70代の男は、個人的な恨みを理由に犯行に及んだとみられる。男は警察に対し、「特許法人に詐欺をされたので、怖がらせて世間に知らせたかった」という趣旨の供述をした。2022年12月にも同じ場所でガソリンをまき、火をつけると脅したとして、懲役2年6カ月の判決を受けていた。

個人的な恨みや対立を理由とする放火は毎年繰り返されている。7月には慶尚北道(キョンサンブクト)慶山(キョンサン)市で、マンションの管理を巡って対立していた70代男性が管理事務所に放火し、本人を含む5人が死亡した。2025年5月には、ソウル地下鉄5号線の車内で60代男性が離婚訴訟の結果に不満を抱いて放火。23人が煙を吸い、病院に搬送された。

警察庁の犯罪統計によると、2025年の放火容疑者891人のうち、204人(22.9%)が対人トラブルや怒りのはけ口、特定集団・社会への敵意を動機としていた。不注意・過失の144人、精神異常の68人、好奇心・スリル・楽しみを求めた57人、経済的利益を求めた12人などを上回った。同じ動機による容疑者は2024年が960人中229人(23.9%)、2023年は1095人中241人(22%)で、いずれも全体の2割を超えた。

専門家は、個人の被害意識が大惨事につながらないよう早期に介入する必要があると指摘する。又石(ウソク)大学のペ・サンフン警察犯罪心理学科教授は「個人の不満や被害妄想を放火によって表し、状況を変えようとする場合がある」と説明。精神疾患を抱える人の怒りが犯罪につながらないよう、対処するための制度的な仕組みが必要だと述べた。

精神科の診療過程で把握された危険な兆候を共有する体制も課題に挙がった。ペ・サンフン氏は、医療従事者が危険性が高いと判断した場合に治療のための入院を検討し、暴力の危険が大きければ関連機関と連携するなど、事前に危険を防ぐネットワークが必要だと強調した。

再犯を防ぐための出所後の対応も課題だ。韓国の現行制度では、再犯の危険がある放火犯を継続的に管理・監督する手段は限られている。位置追跡用の電子足輪は、性暴力や誘拐、殺人、強盗、ストーカー行為などの罪で実刑判決を受けた場合に装着できるが、放火は対象に含まれていない。京畿(キョンギ)大学のイ・スジョン犯罪矯正心理学科教授は「精神疾患がある状態で放火した人には継続的な管理が必要だが、現行制度では刑期を終えると管理が終わる」と指摘。処罰後も治療と監督を続けられるよう立法を検討し、保護観察官も増やすべきだと述べた。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News