平壌で会談する北朝鮮のチョ・ヨンウォン(趙甬元)党書記とスイスのイグナツィオ・カシス外相=労働新聞(c)news1
平壌で会談する北朝鮮のチョ・ヨンウォン(趙甬元)党書記とスイスのイグナツィオ・カシス外相=労働新聞(c)news1

【11月01日 KOREA WAVE】北朝鮮でチョ・ヨンウォン(趙甬元)朝鮮労働党中央委員会書記やチェ・ソニ(崔善姫)外相と会談したスイスのイグナツィオ・カシス外相が韓国を訪れ、政府高官に訪朝結果を説明した。

朝鮮労働党機関紙・労働新聞によると、チョ・ヨンウォン氏は30日、平壌の議事堂でカシス氏の表敬訪問を受け、「友好的な雰囲気」で懇談した。チェ・ソニ氏も同日、同じ議事堂でカシス氏と会談した。両国の外交当局間の対話・協力の強化に加え、共通の関心事である国際情勢への評価や意見を交換したという。具体的な協議内容や合意事項は公表されなかった。両会談には北朝鮮のチョン・ドンハク外務次官、チョ・チョルス駐スイス大使、駐北朝鮮スイス外交代表部の代表らが出席した。

カシス氏はXで、チョ・ヨンウォン氏とは北朝鮮情勢や二国間関係を強化する可能性について話し合ったと説明。チェ・ソニ氏とは、新たな形でのスイス外交事務所の再開、政治関係の正常化、政治対話の再開について協議し、朝鮮半島やユーラシアの安全保障問題でも意見を交わしたと明かした。カシス氏は29日に平壌入りし、2日間の日程を終えて30日に出発した。労働新聞によると、滞在中には主体思想塔も見学した。

訪朝直後に韓国へ移動し、同日、ウィ・ソンラク(魏聖洛)国家安保室長、チョン・ヨンドゥ外務省外交戦略情報本部長とそれぞれ会談した。

韓国大統領府によると、ウィ・ソンラク氏は訪朝結果の説明を受け、スイスによる北朝鮮との意思疎通の窓口の維持・拡大を評価した。双方は朝鮮半島の平和と安定、そのための対話や外交努力の重要性で一致し、緊密な意思疎通を続けることにした。チョン・ヨンドゥ氏は夕食を交えた協議で、朝鮮半島の平和共存に向けた韓国政府の政策と取り組みを説明。スイスの平壌事務所再開が、北朝鮮との意思疎通や関与の拡大に寄与することへの期待を示した。カシス氏も訪朝の印象を共有し、朝鮮半島の平和と安定の重要性に賛意を示した。Xでは、ウィ・ソンラク氏と半島の安全保障や地域の緊張緩和の展望を、チョン・ヨンドゥ氏とは二国間関係や地域情勢、半島の平和の見通しを協議したと説明した。

今回の訪朝は、平壌のスイス外交事務所の運営再開を機に実現した。スイス外務省によると、事務所は10月19日から業務を始めた。スイスは1997年から外務省傘下の開発協力局を通じて、平壌に人道協力事務所を置いていたが、2020年の新型コロナ禍で現地職員を撤収。今回は北朝鮮当局との直接接触や政治対話を強める外交機能を加えて再開した。

スイスは中立国監視委員会の一員として、朝鮮戦争の休戦協定の履行を監視してきた。1994年の米朝枠組み合意が結ばれた国であり、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の留学先でもある。今回の訪問が直ちに南北や米朝対話の仲介につながる可能性は小さい。ただ、平壌の外交拠点を復活させ、南北双方との接触を続けるスイスが、北朝鮮との意思疎通を支える経路として果たす役割が注目される。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News