タイ、帰化したユダヤ教ラビの国籍剥奪 米旅券使用で
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【10月30日 AFP】タイ政府は29日、帰化によってタイ国籍を取得した著名なユダヤ教のラビ(指導者)ヨセフ・ハイム・カントール師について、国籍を剥奪したと発表した。同国では移民関連法の執行が強化されている。
カントール師は、2013年にタイに帰化した後も米国の旅券(パスポート)を繰り返し使用していたことを理由に国籍を剥奪された。
国籍剥奪命令には、内相を兼務するアヌティン・チャーンウィーラクン首相が署名した。
タイの法律は、帰化した国民が以前の国籍を引き続き使用することを禁じているが、必ずしも厳格に適用されているわけではない。
タイでは観光業が主要な収入源となっているが、同国に暮らす外国人の行動や事業活動に厳しい目が向けられるようになっている。
外国人がタイ人の名義を借り、外国人による土地や事業の所有を制限する規制を回避しているとの疑惑も浮上している。
タイ・ユダヤ人協会によると、カントール師は1993年にタイに渡った。
内務省によると、カントール師は帰化後も、オーストラリアへの渡航に米国の旅券を最大16回使用していた。
アヌティン首相は29日、国籍剥奪命令について記者団に問われ、「どのような違法行為であれ、断固として対処しなければならない」と述べた。
2月の選挙で国家主義的な政策を掲げて勝利したアヌティン首相は、1965年の国籍法に基づいてカントール師の国籍を剥奪した。
今回の措置に先立ち、タイ当局は今月上旬、カントール師が勤務する「ハバド・ハウス」を含むバンコクのユダヤ教関連団体3か所を捜索していた。
警察は当時、「ハバド財団バンコク」が労働許可証を持たないミャンマー人労働者3人を雇用していたことが判明したと発表した。
また、ユダヤ人学校「ガン・ハバド」から、税務申告書や土地購入、建物建設に関する記録などの証拠資料を押収した。
ハバドは米ニューヨークに本部を置くユダヤ教正統派の一派で、世界各地に施設を展開している。
バンコクのハバド・ハウスに所属するラビのネヘミヤ・ウィルヘルム師は29日、AFPの取材に対し、同団体は約40人を合法的に雇用しており、労働許可証の申請手続き中だったミャンマー人3人については罰金を支払ったと説明した。
ウィルヘルム師によると、カントール師はタイで30年以上暮らしており、米国やオーストラリアを訪れる際に米国の旅券を使用していた。
自身もタイ国籍を持つウィルヘルム師は、「タイは彼のホームだ」と述べた。
さらに、「別の国籍も持っているというだけで、このような決定が下されたのは本当につらい」と語った。
ウィルヘルム師は「緊張を感じている」としながらも、「タイはユダヤ人を歓迎している」「脅威を感じているわけではない」と強調した。
ウィルヘルム師によると、カントール師はニューヨークを訪問中で、29日の時点でAFPは本人からコメントを得られていない。(c)AFP