【10月29日 AFP】韓国・ソウルの梨泰院で発生したハロウィーンの群衆事故の遺族らが、人気ゲーム「コール オブ デューティ(CoD)」の最新作に事故当時の映像が使用されているとして、削除を求めている。遺族団体の関係者が29日、AFPに明らかにし、「配慮が著しく欠けている」と非難した。

人気ゲームシリーズの最新作「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア4」は、北朝鮮軍の奇襲攻撃を皮切りに、北朝鮮が韓国に全面侵攻するという内容になっている。

ゲームでは、攻撃後の被害状況をプレーヤーに説明する場面で、2022年に起きた梨泰院での群衆事故の映像が使用されている。この事故では150人以上が命を落とした。

映像には、必死に心肺蘇生を行う市民や現場で対応に当たる警察官と消防隊員の姿、道路に並べられた遺体など、事故当時の様子が映っているが、武力攻撃による被害として表現するため、モノクロトーンやノイズフィルターなどの加工が施されていた。

遺族団体の関係者、チョ・インヨン氏はAFPに対し、映像の使用について「遺族や被害者、市民が事故現場の映像をそのまま目にした際に感じる苦痛への配慮が著しく欠けており、犠牲者の尊厳も考慮されていない」と非難。追悼式のために来韓している海外在住の遺族らからも署名を集め、正式に抗議・問題提起を行う方針を示した。

遺族団体と市民団体の連合組織は28日の共同声明で、「事故現場の混乱と必死の救助活動を映した映像が、そのままゲーム内の場面に使用されたことに、驚きを禁じ得ない」と表明した。

また「このような悲劇を娯楽目的のゲームの素材として使用することは、極めて不適切で配慮に欠ける」と強く批判し、「ゲーム開発者に梨泰院の事故の犠牲者への敬意や共感が少しでもあるなら、速やかに是正措置を講じるべきだ」と訴えた。

ゲームの発売元である米アクティビジョンは、聯合ニュースの取材に対し、ゲーム内の「架空の物語を伝えるための要素として」映像を使用したと説明しており、「梨泰院の事故やその他の現実の悲劇に言及したり、軽視したりする意図は一切なかった」と付け加えた。

梨泰院の事故は29日で発生から4年を迎えた。2022年10月29日、コロナ禍後初となるハロウィーンを楽しもうと、若者を中心に数万人が繁華街に集まっていたが、バーやクラブが立ち並ぶ狭い下り坂に群衆が殺到。人々の重みと適切な人流規制の不備が重なり、多数が圧死する大惨事となった。(c)AFP