【10月28日 KOREA WAVE】
「サック・ド・ジュール」とみられるバッグを持つチェ・ソニ外相=10月24日、労働新聞提供(c)news1
「サック・ド・ジュール」とみられるバッグを持つチェ・ソニ外相=10月24日、労働新聞提供(c)news1

北朝鮮のチェ・ソニ(崔善姫)外相が24日、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の中国・丹東訪問に同行した際、約3500ドル(約55万3000円)の仏高級ブランド「サンローラン」のハンドバッグとみられる品を持つ姿が確認された。国連安全保障理事会が北朝鮮へのぜいたく品の輸出を禁じているにもかかわらず、制裁が十分に履行されていないことを示す象徴的な場面だとの見方が出ている。北朝鮮専門メディア「NKニュース」によると、バッグはサンローランの「サック・ド・ジュール」とみられる。公式サイトでの販売価格は3550ドル(約56万1000円)だ。

国連安保理は2006年、北朝鮮の初の核実験を受けて採択した決議1718号で、北朝鮮へのぜいたく品の直接・間接の供給や販売、移転を禁止した。その後の制裁決議でも規制は続いている。韓国統一省が指定したぜいたく品13品目には、バッグのような革製品も含まれる。

チェ・ソニ氏は2024年1月にロシア・モスクワを訪れ、プーチン大統領やラブロフ外相らと会談した際にも、同じバッグを持っていたとみられる。北朝鮮指導部の高級品使用はこれまでも確認されてきた。キム総書記の妹、キム・ヨジョン(金与正)党総務部長は2023年9月のキム総書記のロシア訪問に同行した際、約7000ドル(約111万円)の「レディ ディオール」とみられるバッグを持っていた。キム総書記の娘も公の場で高価な衣服を着る姿がたびたび報じられている。

ブランド側は北朝鮮と公式に取引したことはないと繰り返し説明している。北朝鮮が在外公館や貿易会社などを通じて独自に調達した可能性や、中国・ロシアを経由して持ち込まれた可能性がある。

今回、チェ・ソニ氏がキム総書記と渡った新鴨緑江大橋は、中朝貿易の拡大を象徴する施設だ。北朝鮮・新義州と中国・丹東を結ぶ全長約3キロ、往復4車線の橋で、2014年の完成から12年を経て10月15日に正式開通した。キム総書記は開通から約10日後の24日、専用車で橋を渡り、丹東を訪問した。専用列車ではなく専用車で中国入りするのは初めてという異例の行動だった。

中国税関総署によると、2026年1~9月の中朝貿易額は約22億7000万ドル(約3580億円)で、前年同期の約19億ドル(約3000億円)を上回り、新型コロナウイルスによる国境封鎖後で最高の水準となった。貿易が拡大する過程で、制裁違反に当たる物品も北朝鮮に流入するのではないかとの見方がある。中国は国連安保理の常任理事国として制裁履行に関わる一方、ロシアとともに2022年、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けた追加制裁決議案に拒否権を行使した。

慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「中朝間では密輸を含む非公式取引が長年活発だった」と指摘。「新鴨緑江大橋の開通で物流の滞りが解消され、高級消費財が行き来できる機会がさらに広がった」と分析した。そのうえで「今後はチェ・ソニ氏だけでなく、より多くの北朝鮮幹部や富裕層が高級バッグや外国車を消費し、誇示する可能性が高まった。中国は制裁を順守するとの立場だが、中朝貿易の拡大とともに制裁が徐々に形骸化している」と述べた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News