産業安全保健法改正案が可決された韓国国会本会議(c)NEWSIS/MONEYTODAY
産業安全保健法改正案が可決された韓国国会本会議(c)NEWSIS/MONEYTODAY

【10月27日 KOREA WAVE】ソウル市松坡区で義母を殺害し、妻を拉致した事件を受け、家庭内暴力の加害者への電子監視強化を求める声が高まっている。容疑者は犯行前、裁判所の接近禁止措置を9回破っていた。関連法案は与野党から既に提出されているが、成立していない。国会には電子監視強化に関する法案が4件提出され、委員会で手続きが進められている。家庭内暴力処罰法全体では、第22代国会に提出された改正案33件がすべて法制司法委員会にとどまる。16件は審査段階、17件は受け付け段階で、接近禁止の強化や高リスク加害者の隔離策などが盛り込まれている。

大事件後の制度改正が成果を上げた例もある。2014年のセウォル号沈没事故後には、約200日で関連3法が成立し、災害対応を統括する国民安全処が新設された。2022年の梨泰院雑踏事故を受けては、主催者が明確でない地域行事の安全管理責任を強める改正法が2023年12月に成立。被害者の権利保障と真相究明の特別法も2024年5月に可決された。2022年の新堂駅ストーカー殺人事件後には、被害者が処罰を望まなければ処罰できない規定が撤廃され、加害者への位置追跡装置装着の根拠も整った。

一方、2023年の五松地下道浸水事故後に提出された水害予防・災害対応法案10件のうち、6件は廃案となった。2024年の華城市アリセル工場火災を受けた法改正も、委員会審査にとどまっている。位置追跡や隔離などの強制措置をどこまで認めるかは、慎重な検討が必要だ。与党関係者からも、すべての法案が成立すれば事件を防げたと断定はできず、厳罰化の副作用も考慮すべきだとの意見がある。それでも、制度の運用点検や弊害への対策を含め、議論を進める責任が政治にはあるとの指摘が出ている。

予算の配分にも課題がある。2027年度政府案で、警察庁の犯罪予防・生活秩序維持予算は前年度比157%増となったが、増額の大半はAIや自動運転を使う巡回機器に充てる。国会審議を経て、四輪型の自律走行巡回ロボットを導入する予定だ。緊急通報「112」のシステム高度化にも予算を増やす。対照的に、法務省の電子監視予算は10.6%減る。別枠で増額するシステム運営費を合わせても、全体ではわずかに減少する。AIによる再犯予測システム開発などに使う予算も縮小する。

現場の負担は増している。電子監視の警報は2026年1~8月に506万3479件発生し、8カ月で2022年の年間件数の約2倍となった。一方、直接指導・監督する専従職員は255人から234人に減り、1人当たりの担当者数は17.1人から20.3人へ増えた。

専門家は、検挙や処罰中心の対応から、予防と被害者保護へ重点を移すよう求める。建国大学のイ・ウンヒョク教授は、警察の評価に検挙件数だけでなく、市民の満足度や不安感も反映すべきだと提言。警察、自治体、関係省庁が役割を分担し、地域の困り事や支援需要に対応する連携体制が必要だとした。東国大学のイ・ユノ教授も、巡回や刑罰だけでは限界があるとして、治療・福祉・精神保健を含む対応を強調した。高リスク者が必要な治療を受けられる人員・予算の確保とともに、被害者が安全に暮らせる保護施設や支援体制の充実を求めている。

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