【10月28日 CNS】最近、中国を訪れた外国人観光客が、現地で購入した商品を紹介する「開封動画」をSNSに投稿することが新たなトレンドとなっている。この流行は「China Haul」と呼ばれ、注目を集めている。

米国の人気インフルエンサー、グレース・アンドリュース(Grace Andrews)さんも、中国旅行の様子をSNSで紹介した。動画では、買い物のために持参した空のスーツケースが、アンティークの陶磁器やデザイナーズブランドのブラインドボックス、中国ブランドの衣類、靴、バッグなどでいっぱいになる様子を公開し、数千件の「いいね」を集めた。

中国の公式統計によると、2026年上半期に中国本土で出国時の税金還付手続きを行った外国人を含む海外からの旅行者数は、前年同期比366%増加した。還付対象商品の売上高と還付額も、ともに69%増加した。

また、スイス金融大手UBSが9月に発表した報告書では、2040年までに中国のインバウンド観光収入が4700億ドル(約73兆8511億円)に達する可能性があると予測している。

中国は1990年代以降、豊富な労働力と整った産業基盤を背景に、長年「世界の工場」としての役割を担ってきた。

しかし現在、外国人観光客が中国で購入する商品は、茶葉やシルクなどの伝統的な特産品にとどまらず、最新のデジタル製品、中国発のファッションアイテム、伝統的な健康法に関連する商品、化粧品、キャラクターグッズなどへと広がっている。

買い物の場所も、北京市、上海市、広州市(Guangzhou)、深セン市(Shenzhen)といった大都市の中心商業地区から、地方都市や街角の店舗にまで広がりを見せている。

かつて外国人観光客にとって中国旅行の主な目的は観光であり、買い物はそのついでという位置付けだった。しかし現在では、買い物そのものが旅行の重要な目的の一つになりつつある。

こうした変化の背景には、外国人観光客の利便性を高める政策がある。

中国は2023年以降、段階的に約50カ国を対象としたビザ免除措置を導入してきた。また、ユニオンペイ(UnionPay、中国銀聯)、微信支付(ウィーチャットペイ、WeChat Pay)、支付宝(アリペイ、Alipay)などの主要決済サービスでは、海外の電子ウォレットとの連携が進み、外国人観光客が使い慣れたアプリでQRコード決済を利用しやすくなっている。

さらに、SNSに投稿される買い物情報や商品紹介が、中国製品の認知度を高める重要な役割を果たしている。実際に店舗を訪れた際の体験も、口コミの広がりを後押ししている。

ある米国人観光客は「どの店でも店員がとても親切で、商品の背景や特徴について丁寧に説明してくれた」と語った。こうした体験がSNSを通じて共有され、「China Haul」の流行につながっている。

日本のSNSでも、中国の玩具メーカー、ポップマート(Pop Mart)のブラインドボックスや淡水パール、老舗化粧品ブランド「謝馥春」の商品など、中国らしさと価格面での魅力を兼ね備えた商品への関心が高まっている。

最近では、週末を利用して上海へ買い物に出かけるという旅行スタイルも、日本の消費者の間で注目され始めている。

外国人観光客の主要な訪問先である上海市は2025年、今後5年間で出国時の税金還付対象商品の売上高を約4倍に増やす目標を掲げた。税金還付制度の先進都市を目指し、外国人観光客の増加を消費拡大につなげる方針だ。

業界関係者は、「China Haul」の人気について、中国のサプライチェーンの強み、国内ブランドの成長、外国人の入国や買い物を便利にする政策が重なった結果だと分析している。

中国製品が単なる「メード・イン・チャイナ」から独自の価値を持つ「中国ブランド」へと変化する中、中国を旅行しながら買い物を楽しむスタイルは、一時的なSNSの流行から日常的な消費行動として定着する可能性がある。

一方、こうした海外からの需要をいかに取り込むかは、中国の小売業やサービス業にとって新たな課題となっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News