ライオンロボティクスの四足歩行ロボット「ライボ2」=同社提供(c)news1
ライオンロボティクスの四足歩行ロボット「ライボ2」=同社提供(c)news1

【10月24日 KOREA WAVE】バッテリー交換なしでフルマラソンを完走した韓国の四足歩行ロボット「ライボ2」が、防衛や発電所など実際の現場へと活動範囲を広げている。開発元のライオンロボティクスは、2027年6月に量産を開始し、年間1200台の生産・供給を目指す。ファンボ・ジェミン代表は「危険な現場に人の代わりにロボットが先に入ることが当たり前となる時代に貢献したい」と語った。

2023年設立の同社は、ファンボ・ジェミン氏が率いる韓国科学技術院(KAIST)ロボット知能研究室の技術を事業化した大学発企業だ。人が近づきにくい場所や危険な現場で、実際に任務を遂行するロボットの開発を目指している。

強みは長時間の稼働と、さまざまな地形に対応する歩行能力だ。歩行用の人工知能(AI)からモーター、減速機、モータードライバー、電装技術まで、主要技術を自社で設計・開発してきた。事業統括副社長のホ・チョル氏は「1回の充電で8時間以上歩け、実際の事業現場にすぐ適用できることが差別化につながる」と説明した。四足歩行ロボットは階段や山地、がれきのある場所を移動できる一方、立っているだけでも関節のモーターが機体を支え、摩擦や着地時の衝撃などでエネルギーを消費する。実用化には、不整地での歩行能力に加え、長時間の稼働が重要となる。

ライボ2は2024年の尚州干し柿マラソンで、充電やバッテリー交換をせず、42.195キロを4時間19分52秒で完走した。同社によると、平均時速約9.7キロで走ってもバッテリーは残っていた。実走行データを搭載可能なバッテリーの全容量に当てはめると、1回の充電で約65キロ移動できると分析された。同容量のバッテリーで比較した場合、米マサチューセッツ工科大学の「チーター」や米ゴーストロボティクスの「ビジョン60」、中国ユニツリーの「B1」やDEEP Roboticsの「X30」などより3倍以上長く移動できる性能だという。

関連研究は9月、英科学誌ネイチャー本誌に掲載された。研究チームは機械構造、電気回路、モーター駆動装置、強化学習によるAI歩行制御を一体として設計し、エネルギー損失を低減。下り坂ではモーターを発電機のように働かせ、エネルギーの一部をバッテリーに回収する仕組みも採用した。歩行は、仮想空間に動作や物理環境を再現するシミュレーター「RaiSim」で繰り返し学習する。ホ・チョル氏は「仮想空間で数え切れないほど転びながら歩き方を覚えた。砂地や雪道など、初めての地面でも自らバランスを取る」と話した。

同社は2025年、韓国国防省傘下の部隊にロボットシステムを納入し、シンガポール国防科学技術庁や欧州の防衛企業への輸出実績も確保した。2026年は韓国軍の合同実弾射撃訓練にライボ2を投入し、8月には戦闘実験の認証書を取得した。韓国南部発電の三陟ビットドリーム本部とも、発電所の危険区域を点検するロボットの開発・実証を進める。粉じんや水分、高温にさらされる石炭取扱設備や屋内貯炭場などで、遠隔から設備の状態を確認し、将来は映像やセンサーのデータで異常の兆候を早期発見する計画だ。

今後は量産時の品質の安定や、雨、粉じん、衝撃、温度変化などへの耐性確保が課題となる。防衛・発電所から公共安全、重工業、建設、物流施設へ用途を広げ、長期間の無人運用に向けた自動充電技術も開発している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News