大韓航空のボーイング787-10型機=大韓航空(c)news1
大韓航空のボーイング787-10型機=大韓航空(c)news1

【10月24日 KOREA WAVE】韓国の大韓航空が社内チャットの会話履歴を3日後に自動削除する運用を始め、従業員から業務効率の低下を訴える声が上がっている。会社側は情報セキュリティー強化のための措置と説明するが、現場では、時差のある海外拠点と連携する航空業の特性を十分に反映していないとの指摘が出ている。

news1の取材によると、大韓航空は10月1日から、社内で使う「Google Chat」の会話履歴を3日間(72時間)の経過後に自動削除している。Gmailやクラウドに保存された資料についても、具体的な保存期限を設け、年内に削除方針を適用する予定だ。2019年にGoogle Workspaceを社内の共同作業基盤として導入して以来、こうした自動削除の運用は初めてとなる。

従業員が問題視するのは業務の継続性だ。海外拠点との連携では、時差や週末、現地の祝日などでメッセージの確認が3日以上後になる場合があり、履歴が消えると連絡を見落としかねない。担当者交代時の引き継ぎや、過去の意思決定の経緯を確認することも難しくなるという。通常と異なる運航への対応記録が失われる懸念もある。ある従業員は社内掲示板で「事故や重大インシデントなどが発生すると、関係部署はGoogle ChatやWorkspaceで対応状況をリアルタイムに共有する。こうした記録は、その後の業務分析や改善にも活用される」と説明した。

メールやクラウドの削除方針を巡っても、長期的な業務記録の保存を心配する声が出ている。会社側は現在、保存期間を2年とする案を検討しているという。ただ、航空機の導入やリース条件の交渉、メーカーや整備会社との技術的な問い合わせは、数年後も確認する必要があると従業員らは訴える。

必要な会話を別途保存する負担も課題だ。従業員側は、Google ChatやWorkspaceには別途バックアップ機能がなく、1日に数十~数百件交わされる内容から必要な部分を選び、画面を保存したり文章にまとめたりするには相当の時間がかかると指摘する。こうしたデータが個人のパソコンやタブレットに保存されたり、業務連絡がカカオトークなど外部のメッセージアプリに移ったりすれば、かえって会社の情報管理が難しくなるとの懸念もある。

従業員からは、自動削除ではなく、重要資料を安全に保存できるよう情報セキュリティーへの投資を強化すべきだとの意見が出ている。ある従業員は「顧客の個人情報を扱う航空会社には高度なセキュリティー対策が必要だが、システムへの投資をせず、現場の不便だけを増やしてはならない」と話した。

大韓航空の関係者は「アカウント情報の流出やハッキングが起きた際、保存された会話が情報漏えいの経路になり得るため、社内チャットの保存期間を短縮した」と説明した。同社は9月の社内通知で、業務に支障が出ないようチャット履歴の削除方針を補完し、データのバックアップや移行に関する手引きなどを案内するとしていた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News