韓国・京畿道坡州市の自由路から見えた北朝鮮側の拡声器=10月20日(c)news1
韓国・京畿道坡州市の自由路から見えた北朝鮮側の拡声器=10月20日(c)news1

【10月23日 KOREA WAVE】北朝鮮が韓国向け拡声器放送の再開に加え、軍事力の追加投入も示唆し、韓国軍が動向を注視している。「国境線の要塞化」を名目に、非武装地帯(DMZ)の本来の趣旨に反する「武装化」を進めているのではないかとの懸念も出ている。

キム・ヨジョン(金与正)朝鮮労働党総務部長は22日、朝鮮中央通信を通じた談話で、拡声器とともに「全ての国境線で、われわれの新たな対応手段も任務待機状態に入る」と表明した。キム・ヨジョン氏が19日に「戦術的打撃手段の増強配備と対韓国拡声器放送の再開を検討する」と述べてから、わずか3日で圧力を強めた形だ。

キム・ヨジョン氏は21日、パク・ジョンチョン(朴正天)国防省顧問と西部戦線付近の要塞化工事現場を視察したことを公表。「新たな火力部隊が射撃陣地に就いたことを、相手に分からせなければならない」と主張した。また、「戦術的狩猟組」が新たな陣地に配置され、10月中に全ての国境線で拡声器が稼働すると発言。韓国軍の警告射撃などで実際の被害が出れば、前線の兵士は相手を「容赦なく排除する」と警告した。

専門家は、韓国軍の行動に応じて対抗手段を段階的に投入する構想と分析する。警告放送には拡声器、警告射撃には「戦術的狩猟組」、さらに強い軍事行動には火力部隊で対応するというものだ。これらは要塞化工事を完了させるため、臨時に編成された援護部隊との見方もある。前線の射撃陣地は「狩猟組」の浸透を支援し、韓国軍の反撃に対応するための隠蔽・遮蔽拠点として築かれた可能性がある。「狩猟組」は機動性を重視し、韓国軍の活動が一線を越えたと判断した際に、直ちに制圧する部隊と推定される。最新式の小銃や狙撃銃などを用い、火力部隊は重機関銃や迫撃砲などを運用するとみられる。

統一研究院のホン・ミン上級研究委員は、「狩猟」「容赦なく排除」という表現から、警告射撃をする韓国軍兵士の制圧が目的と分析。「砲撃のような面への攻撃ではなく、狙撃などの精密攻撃を担う小規模な火器チームの可能性がある」と述べた。

北朝鮮は2026年に入り、接境地域付近に240ミリ・600ミリ多連装ロケット砲や新型自走砲、移動式発射台なども配備し、戦力増強を進めている。ただ、これらは軍事境界線から数十キロ以上離れた場所にあるとされる。射程が数十~数百キロに及ぶうえ、位置が判明すれば韓国軍による発射拠点への攻撃対象となるためだ。有事には首都圏を含む韓国全域を脅かし得る戦力でもあり、前線への追加部隊投入が実行されれば、偶発的な衝突に加え、戦闘拡大の危険も高まる。

ホン・ミン氏は「まず工事現場に迫撃砲や対戦車兵器などの近距離兵器を配備し、交戦が局地戦に拡大すれば、後方の多連装ロケット砲や砲兵を投入する戦略と推定される」と説明した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News