韓国陸軍第11機動師団の「有人・無人複合分隊実証部隊」発足式=陸軍提供、2026年7月29日(c)news1
韓国陸軍第11機動師団の「有人・無人複合分隊実証部隊」発足式=陸軍提供、2026年7月29日(c)news1

【10月23日 KOREA WAVE】韓国軍が、無人装備の「頭脳」となる人工知能(AI)の初期開発研究に乗り出した。戦場の地形を把握し、状況の変化を予測して最適な行動を自ら判断する技術の確立を目指す。ロシアのウクライナ侵攻や米国とイランの中東戦争でAIを活用した指揮統制・作戦運用が増えるなか、兵力減少への対応も背景にある。

軍によると、防衛事業庁は「フィジカルAIに基づく無人システムの自律運用に向けた軍用世界モデルの参照モデル実装・標準案研究」を発注し、研究機関を募集している。

フィジカルAIは、ロボットなどが現実の環境で動作するためのAI技術。その中核となる「世界モデル」は、物理法則や時間・空間、物体同士の相互作用、行動による変化を学び、将来の状況を予測して、任務に必要な判断や行動計画を生み出す環境モデルだ。例えば「コップを傾けると水がこぼれる」と学習すれば、水がこぼれる直前までの動きを予測し、どこまで動かせるかを判断できる。こうした思考の仕組みをAIで実現する。

防衛事業庁は、単に戦場を認識するだけでなく、状況を理解し、将来を予測して最適な行動を選ぶAIの必要性が高まっていると説明する。兵力が減るなか、広範囲を効果的に監視し、迅速に対応できる知能型無人システムの確保が課題となっている。世界モデルは開発・初期商用化の段階にあり、海外では自動運転やゲームなどの分野で大企業が開発を進めている。同庁によると、韓国でも大企業が中心で、商用化モデルはまだない。今回の研究には、中小企業の参入を促す標準案を整える狙いもある。

具体的には、センサー、無人機、多脚ロボット、シミュレーター、通信、AIエージェントなどの構成要素を統合し、部品単位で交換・拡張できる開放型の世界モデルを目指す。中小企業が閲覧できる研究成果をまとめ、後続事業への参加につなげる方針だ。研究では、国内外の技術や軍事利用の動向を分析し、多脚ロボットなどを対象に参照モデルを実装する。各無人システムとの連携に必要な標準モデルを示すほか、シナリオに基づく実機の機動実験で軍への適用可能性を検証し、戦闘能力の向上に必要な要素や中小企業の参入方策を探る。

陸軍も、2040年までに有人・無人複合戦闘システムと先端技術を活用した監視システムの構築を目指す「アーミータイガー・プラス」の一環として、最近開設した板橋AX(AI転換)拠点でフィジカルAIの研究を進めている。特に、非武装地帯(DMZ)や監視哨所(GP)、一般前哨(GOP)の警戒に、世界モデルと無人システムを組み合わせる構想を推進する。まず地理情報システム(GIS)などで戦場情報を集め、現実の環境を仮想空間に再現する「デジタルツイン」を構築。各兵科学校や一部の訓練場で、無人システムに適用する実証を進める計画だ。

陸軍本部のナム・スンヒョン軍事革新次長(准将)は「DMZではモデル地域を選んでデジタルツイン化と実証を先行させ、事業を拡大する。陸軍内部の意思決定は済んでおり、国防省や合同参謀本部と協議している」と述べた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News