【10月26日 CNS】2026年もすでに半分以上が過ぎ、固定資産投資の伸び率には変動が見られる。しかし、投資総額の数字以上に注目すべきなのは、その背後で進む構造的な変化だ。従来の成長エンジンと新たな成長エンジンの間で、投資動向の二極化が鮮明になっている。

◾️投資の重点は「規模拡大」から「質の向上」へ

2026年に入ってからの固定資産投資の最大の特徴は、不動産開発投資が大幅な減少を続ける一方、ハイテク産業への投資が堅調に伸びていることだ。1~8月の全国の不動産開発投資は4兆7979億元(約113兆2126億円)で、前年同期比19.9%減少し、投資全体の伸び率を押し下げた。一方、ハイテク製造業への投資は同3.5%増、ハイテクサービス業への投資は同8.4%増となった。人工知能(AI)などの新産業と密接に関わる情報サービス業への投資は22.7%増加した。

こうした数字の変化は、従来の成長エンジンから新たな成長エンジンへの転換と、投資が量的拡大から質の向上へと移行していることを客観的に示している。不動産、鉄鋼、化学工業、大規模インフラなど、従来の大型設備投資を必要とする産業は、投資規模が大きく、建設期間が長く、多額の資本を必要とする。そのため、これらの産業への投資は、投資総額を押し上げる効果が大きい。

これに対し、ソフトウエア開発、AI、情報サービス、研究開発・設計などの技術集約型産業は、人材や知識への投資に大きく依存しており、固定資産投資の規模は比較的小さい。経済構造が「鉄筋とコンクリート」から「半導体とプログラム」へと移行するにつれ、同じ国内総生産(GDP)の増加を生み出すために必要な固定資産投資は自然と減少する。

こうした「投資密度」の変化は、経済構造の高度化に伴う必然的な結果であり、質の高い発展段階における特徴でもある。現在、投資の基本的な考え方は「規模拡大」から「質の向上」へ、事業を広く展開する段階から、より高い水準を目指す段階へと変わりつつある。

例えば、1~8月の全国の知的財産関連投資は前年同期比9.2%増加し、投資全体の15.2%を占めた。この急速な伸びは、経済成長の原動力が資本の蓄積から技術革新へと移行していることを示すとともに、投資対象が「有形資産」から「無形資産」へと変化していることを裏付けている。

◾️投資を支える政策が相次いで実施

現在の投資動向は、政策による後押しに大きく左右されている。2025年12月の中央経済工作会議では、2026年に「投資の減少に歯止めをかけ、安定を取り戻す」方針が明確に示された。この目標に向け、さまざまな政策が相次いで実施されている。

政府投資では、各種公的資金の投入と活用を加速させ、できるだけ早く具体的な建設事業につなげることが中心となっている。国家発展改革委員会は、投資の減少に歯止めをかけ、安定化と構造改善を進めるため、三つの重点施策を示した。

第一に、政府投資資金を速やかに投入することだ。国家の重要戦略の実施と重点分野の安全保障能力の整備を指す「両重」事業を総合的に推進し、第3四半期の建設工事の繁忙期を捉えて、8000億元(約18兆8770億円)規模の新たな政策金融手段による資金投入と活用を加速させる。また、地方政府の特別債券の発行と資金活用も進める。

第二に、着工条件が整った大型プロジェクトの建設を加速させることだ。第15次5か年計画(2026~2030年)の綱要に盛り込まれた109件の重要プロジェクトを着実に推進する。

第三に、「六つのネットワーク」の整備計画と、総合的な交通ネットワーク、低空経済、「AIプラス」、消費、教育・医療の五つの分野に関わるインフラ・公共サービス施設の整備を連携して進めることだ。

新たな政策金融手段によって、総額約10兆元(約235兆9630億円)規模のプロジェクト投資が促されると見込まれている。民間投資の活性化に向けても、政府はこれまでにない規模の財政・金融支援策を打ち出している。

今年は中央財政から1000億元(約2兆3596億円)を特別に確保し、財政と金融の連携によって内需を拡大する六つの政策を導入した。消費促進と投資拡大を一体的に進めるもので、このうち四つが民間投資を支援する政策となっている。

上半期だけで、これら四つの投資促進策によって、1兆2400億元(約29兆2594億円)を超える民間投資が支援対象となった。経済活力を高める改革では、制度上の障壁を取り除き、投資環境を改善することに重点が置かれている。各地方政府も民間投資の発展を促す具体策を相次いで発表した。

国家レベルでは、「モノへの投資と人への投資を緊密に結び付ける」という方針が強調されている。これは、単に投資規模の拡大を追求するのではなく、人材の育成や生活水準の向上をより重視する方向へ、投資の考え方が変化していることを示している。

◾️投資の方向性は変わっても、機会は豊富

現在、固定資産投資はさまざまな課題に直面しているが、政府には経済成長と国民生活を支えるための十分な対応能力と政策余地がある。資金面では、下半期の政府資金は十分に確保されている。6月には地方政府の新規特別債券の発行が明らかに加速した。8000億元規模の新たな政策金融手段による資金投入も進み、5000億元(約11兆7981億円)規模の民間投資向け特別保証制度も引き続き効果を発揮するとみられる。

政策面では、政府はすでに「投資の内発的な原動力を一層強化する」と明言している。追加的な政策手段も十分に用意されており、情勢の変化に応じて適切な時期に導入できる。

プロジェクト面では、第15次5か年計画に盛り込まれた109件の重要プロジェクトや「六つのネットワーク」、五つの分野に関わるインフラ整備が計画的に進められており、今後の投資を支える事業も十分に確保されている。

こうした政策の後押しを受け、投資は徐々に安定を取り戻し、固定資産投資の減少幅も縮小していくことが期待される。中国経済が長期的に成長するという基本的な見通しに変わりはない。投資構造の改善と高度化は、質の高い経済発展に向けた新たな原動力を蓄積し、新しい投資機会を生み出している。

今後は、資金投入の加速、投資分野の拡大、改革の深化が三つの重点方向となる。投資先については、従来の成長エンジンから新たな成長エンジンへの転換を重視し、伝統産業の技術改造、重要な基幹技術の研究開発、都市の再整備、農村インフラの建設、生活関連サービスの質の向上などの分野で、投資の可能性を掘り起こす必要がある。

現在の中国では、投資の方向性は変わったものの、投資機会が少なくなったわけではない。ただし、新たな機会を見いだすには新しい視点が必要であり、それを生かすための新たな仕組みも求められている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News