北朝鮮・金正恩総書記は沈黙、妹の金与正氏が韓国・米国を猛批判…鮮明になる外交の役割分担
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【10月22日 KOREA WAVE】北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記と妹のキム・ヨジョン(金与正)党総務部長の間で、外交分野の役割分担が鮮明になっている。キム総書記が民生や国内の結束強化に重点を置く一方、韓国や米国などへの強硬なメッセージはキム・ヨジョン氏が事実上、一手に担っている。専門家の間では、北朝鮮が将来、外交方針を転換する必要に迫られた際、最高指導者の決断によって局面を変える余地を残す狙いがあるとの分析が22日、出ている。
キム総書記は9月4日の第15回全国教員大会への出席から、10月19日の衣服・履物展示会の視察まで、計11件の公開活動に姿を見せた。このうち軍事関連は、5000トン級駆逐艦「姜健(カン・ゴン)」の就役式、軍需工場の訪問、中距離戦略ミサイル発射訓練の視察、国防革命博物館の開館式の4件だった。残る活動は政権樹立記念行事や金日成総合大学創立80周年の記念演説、党創建81周年記念公演など、国内の結束や民生・経済に関するものが中心だった。
北朝鮮は9月以降、弾道ミサイルや多連装ロケット砲の発射を続けているが、キム総書記が視察したのは10月3日のミサイル訓練だけだった。韓国や米国に対する攻撃的な発言も目立たない。
対照的にキム・ヨジョン氏は、国際社会の非核化要求、韓米日の合同訓練、非武装地帯(DMZ)の地雷爆発事故、軍事境界線(MDL)での要塞化作業を巡る対立などについて、相次いで談話を発表している。9月には国際原子力機関(IAEA)総会での非核化要求を批判し、韓米日の合同訓練を脅威と非難した。10月には韓国と日本のミサイル追跡能力を揶揄し、韓国政府による医療機器支援計画も批判。19日には韓国軍の警告放送と警告射撃に反発し、21日には韓国向け拡声器を月内に稼働可能な状態にすると表明した。
キム・ヨジョン氏は2018年の南北・米朝首脳会談を機に、重要な対外メッセージを発信する役割を担うようになった。最高指導者の実妹という立場もあり、その発言はほかの当局者のものとは異なる重みを持つ。慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「以前は軍事活動に関するメッセージを国防省や軍総参謀部が発信していたが、最近はキム・ヨジョン氏に集中している」と指摘する。
キム・ヨジョン氏は21日、軍事境界線付近の要塞化作業も視察した。従来は最高司令官であるキム総書記が担ってきた軍の主要事業にまで関与する異例の動きだ。その際、キム総書記が敵対国との境界線を恒久的なものにするよう命じたと強調し、軍に命令の徹底を求めた。
専門家は、こうした役割分担には最高指導者の絶対的な権威を守る狙いがあるとみる。北朝鮮は中国、ロシアとの関係を深める一方、将来の対米外交にも備えている。キム総書記自身が強硬な方針を繰り返し示せば、後に政策を転換する際、国内向けの説明が難しくなる可能性がある。キム総書記は2025年9月、米国が非核化への固執を捨て、北朝鮮の核保有を認めて平和共存を望むなら、対話を拒む理由はないと述べた。こうした条件付きの対話の可能性を示したのはキム総書記だけだった。
イム・ウルチュル氏は「キム・ヨジョン氏が前面に立って韓国や米国へのメッセージを発信することで、キム総書記の権威を守っている」と分析する。キム総書記は2018年の新年演説で平昌冬季五輪への参加を表明し、米国との緊張が高まっていた情勢を一変させた。今回も将来の外交戦略の転換に備え、最高指導者による決定的な発言の効果を残そうとしているとの見方が出ている。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News