韓国・北朝鮮関係、1年4カ月ぶりに緊張再燃の危機…金与正氏が拡声器の稼働準備を予告
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【10月22日 KOREA WAVE】北朝鮮が軍事境界線(MDL)付近で緊張を高めている。韓国向け拡声器放送再開に向けた稼働準備を予告し、南北関係を振り出しに戻しかねない強硬姿勢を示した。実際に放送が再開されれば、2025年6月以来、1年4カ月ぶりに南北間の緊張が大きく高まる可能性がある。
北朝鮮のキム・ヨジョン(金与正)朝鮮労働党総務部長は21日の談話で「10月中に韓国向け心理戦拡声器が国境線全域で稼働状態に入る」と表明した。キム・ヨジョン氏は最近、軍事境界線付近で韓国軍が実施している警告放送や警告射撃を繰り返し問題視している。
韓国軍は、北朝鮮が南北分断を固定化するため、壁や鉄条網の設置、地雷の埋設などを進める「国境線要塞化」の過程で、北朝鮮兵が軍事境界線に過度に接近したり、無断で越えたりした場合、警告放送に続いて警告射撃を実施している。一方、北朝鮮側は自国の活動を「主権の行使」と位置付け、韓国軍の対応こそ休戦協定違反だと主張しているとみられる。1953年の休戦協定締結後、境界線をめぐる協議が進まず、双方が認識する境界線の位置に違いがあることも対立の背景にある。
キム・ヨジョン氏は19日の談話で初めて拡声器放送再開の可能性に言及し、21日には稼働を具体的に予告するなど、圧力を強めている。
北朝鮮はユン・ソンニョル(尹錫悦)前政権時代、「騒音放送」と呼ばれる拡声器放送で、幽霊の声や悲鳴のような不気味な音を深夜や早朝にも流した。韓国側の国境地域住民には心理的不安など深刻な被害が生じた。今回の予告には、韓国軍の活動を萎縮させるとともに、政府の対北朝鮮政策に対する国民の支持を揺さぶる狙いがあるとみられる。
ただ、北朝鮮が実際に放送を再開するかは不透明だ。韓国軍は「稼働状態」が放送開始を意味するのか、即時放送が可能な準備段階を指すのか分析している。慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は、韓国軍の警告放送や警告射撃が北朝鮮の許容範囲を超えた場合に騒音放送で対抗するという条件付きの警告だと分析した。北韓大学院大学校のヤン・ムジン碩座教授も、韓国側の対応次第では拡声器が準備状態にとどまる可能性があると指摘した。
イ・ジェミョン(李在明)政権は2025年6月の発足直後、前政権が実施していた北朝鮮向け拡声器放送を中止し、関連施設の撤去を進めた。北朝鮮も騒音放送を停止し、南北間には緊張緩和の動きが広がっていた。しかし、今回の対立でこうした措置が白紙に戻る懸念が強まっている。韓国政府にとって拡声器放送の再開は政策転換を意味するため、対応は容易ではない。韓国軍も現時点では再開を対抗措置として想定していないという。
一方、北朝鮮は国境線の要塞化を急いでいる。キム・ヨジョン氏は21日午前、パク・ジョンチョン(朴正天)国防省顧問とともに軍事境界線付近の工事現場を視察した。キム・ヨジョン氏は、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が領土主権で一切譲歩せず、敵対国家との国境線を恒久的なものにするよう命じたと強調。国境が固定されれば軍事衝突の危険は解消されるとの考えを示した。ただ、韓国側がこれを容認すれば、北朝鮮の主張する境界線を事実上認めることになり、対話による平和共存という政策方針とも矛盾する。
南北間の直接対話が難しい中、国連軍司令部を介した軍事衝突防止策も提案されている。韓国と国連軍司令部が協議した後、北朝鮮との将官級会談を推進し、必要に応じて3者協議に拡大する案などが挙がっている。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News