【10月21日 AFP】台湾の検察当局は21日、中国共産党を批判した台湾のスタンダップコメディアンを襲撃したとして、5人を起訴したと発表した。

台湾は、中国政府に批判的な島内の人々を標的とした中国による国境を越えた弾圧が強まっていると非難している。中国政府は台湾を自国の領土の一部と主張し、武力行使による統一も辞さない構えを示している。

新北市検察当局の声明によると、被告5人は中国人から依頼を受け、台湾のコメディアン、黄逸豪さんを監視し、暴行を加えることで、9月20日に予定されていた公演への出演を阻止しようとした疑いが持たれている。

検察によると、5人は7月から黄さんの行動を追跡し、交通事故を装って腕や脚を骨折させ、入院によって舞台に立てないようにする計画を立てていた。

被告のうち2人は9月11日、帰宅途中の黄さんが乗っていたスクーターに車を衝突させ、骨盤に打撲傷を負わせたとされる。

検察は「本件は、中国共産党が国境を越えた弾圧の手法を用い、わが国の無法者らを操り、暴力によって異なる政治的意見を封じ込めようとした疑いがある重大な事件だ」と指摘した。

検察によると、被告のうち2人は黄さんを負傷させる計画への関与を認めている。

検察は、5人について「台湾社会に萎縮効果をもたらす意図を持ち、自ら進んで外国の敵対勢力に加担した」と非難。襲撃は「極めて悪質」で、「人命を軽視した」行為だと指摘した。

被告らは事件後、中国人から約束されていた報酬45万台湾ドル(約220万円)の最終支払い分を請求するため、黄さんの医療記録を入手した

黄さんは捜査当局に感謝を表明するとともに、台湾が中国の統治下に置かれれば、言論の自由が危険にさらされると警告した。

黄さんはフェイスブックへの投稿で、「私がしたのは、台湾の舞台でわずか2分半、習近平国家主席を批判したことだけだ。それなのに、汚物を投げつける襲撃と、車を使った意図的な襲撃の両方の標的になった」と述べた。

さらに、「中国共産党がまだ台湾を統治していないにもかかわらず、共産党を批判しただけでこのような目に遭うのなら、共産党が台湾を統治するようになった場合、現在の言論の自由を維持できるとどうして期待できるだろうか」と訴えた。(c)AFP/Pei-ju TENG