刃物による襲撃事件から2日後、仁川市南洞区の大型商業施設を巡回する警察官=15日(c)news1
刃物による襲撃事件から2日後、仁川市南洞区の大型商業施設を巡回する警察官=15日(c)news1

【10月21日 KOREA WAVE】韓国で刃物による襲撃や家族・交際相手など身近な関係にある人による犯罪が相次ぎ、護身用品や護身術への関心が高まっている。一方、専門家は個人の防御には限界があるとして、犯罪を未然に防ぐ社会の安全体制の強化を求めている。

ニュース1の17日の取材によると、Xには「現実に役立つ護身用品5選」と題した投稿が掲載され、1日で閲覧数が1万回を超えた。「笛を携帯し、スマートフォンの緊急SOSボタンを覚えておくこと。何より大切なのは、イヤホンを片方外して歩くこと」といった情報が共有されている。

11日にはソウル市松坡区で義母の殺害と妻の拉致事件が発生。13日にも仁川での刃物襲撃事件や全州での妻殺害事件などが続き、市民の不安が広がっている。

松坡区に住む女性(28)は「自宅から遠くない場所で殺人事件があったと聞き、とても怖かった。人ごととは思えず、いつもより帰宅を急ぐようになった。護身用品だけでも用意すべきか悩んでいる」と話した。

Xでは「椅子で生き延びる」と題した護身動画も注目されている。投稿者は「刃物を持った不審者に遭遇したら逃げるのが最善だが、避けられない状況では椅子が有効な防御道具になる」と説明した。

仁川の事件では、刃物を振り回した50代の男を市民が椅子で取り押さえており、関連動画への関心が高まったとみられる。投稿の閲覧数は2日で47万回を超えた。

護身用品を求める動きは店舗でも見られる。ソウル市冠岳区の生活用品店の従業員は「最近、護身用の笛があるか尋ねるお客さんが時々いた」と語った。

一方、日中にも凶悪事件が起き、警察から支給されたスマートウォッチを持っていても被害に遭ったことが伝えられ、不安を訴える声もある。

夕方の出勤が多い看護師の女性(29)は「最近の事件の被害者は皆、スマートウォッチを持っていたという。護身用品を買っても意味があるのか分からない。犯罪の標的にならないことが一番だと思う」と話した。

専門家は、個人が警戒するだけでは凶悪犯罪を防ぎ切れないと指摘する。護身用品の使い方を誤ると、かえって危険が増す可能性もあるとして、加害者の行動や再犯の恐れを継続的に把握するなど、社会の安全体制を強化すべきだとしている。

東国大学警察行政学科のイ・ユノ教授は「護身用品が必要になるのは、多くの場合、女性や高齢者などが自分より力の強い男性に遭遇した時で、適切に使える可能性は低い」と指摘。「加害者に奪われれば、逆に被害者を脅かす凶器になる危険も大きい」と述べた。

さらに「韓国は正当防衛が認められる範囲も非常に狭く、護身用品だけで危険を脱し、犯罪を防ぐのは難しい」と説明。「再犯リスクの高い人物が社会で自由に行動することを防ぐため、関係機関による保護観察や追跡など、管理制度を強化することが優先だ」と強調した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News