「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」の関連グッズ=ちいかわ韓国公式インスタグラムより(c)MONEYTODAY
「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」の関連グッズ=ちいかわ韓国公式インスタグラムより(c)MONEYTODAY

【10月21日 KOREA WAVE】かわいらしい姿とは裏腹に、仕事や生活の悩みに直面する日本の漫画「ちいかわ」が、韓国の大人たちの共感を集めている。登場キャラクターの苦労の多い日常と、その中で見つけるささやかな幸せが、現実に疲れた人々を慰めている。

韓国映画振興委員会の集計によると、初の劇場版「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」は9月30日の公開初日に興行ランキング1位を記録。10月15日には公開から約半月で累計観客数145万人を突破した。映画公開後はグッズ人気も高まった。ソウル市龍山区のアイパークモールに開店した「ちいかわショップ龍山店」には、前夜から並ぶファンもいた。韓服姿のぬいぐるみや文具などは入荷直後の売り切れが相次ぎ、映画館にも限定グッズやポップコーン容器を求める人が集まった。

「ちいかわ」は「自分ツッコミくま」でも知られるイラストレーター、ナガノの作品。2020年に連載が始まり、2022年からフジテレビでアニメが放送された。単行本の累計販売部数は500万部を超える。韓国では大元メディアが「モンジャックィ」の名称で商品事業を展開している。

ちいかわ、ハチワレ、うさぎたちは、小さくかわいいが、暮らしは平穏一辺倒ではない。生活のために草むしりやシール貼りをし、時には命懸けで怪物の討伐に挑む。仕事は限られ、獲得競争もある。収入を増やすには資格試験にも受からなければならない。ハチワレが合格する一方、ちいかわは何度も不合格になり、再挑戦する。努力しても同じ結果が得られるとは限らない。住環境にも差がある。ちいかわは抽選で当たった家に住み、ハチワレは洞窟で古い布団をかぶって眠る。現実の住宅格差や経済的不平等を思わせる設定だ。

それでも、厳しい暮らしばかりを描くわけではない。仕事を終えれば友達と食べ物を分け合い、一緒に歌う。不安の中でも支え合い、小さな幸せを見つける姿が魅力になっている。

グッズを10点以上買ったという30代女性は「最初はかわいさに引かれたが、見れば見るほど、苦しい状況でも純粋さを失わない主人公たちを好きになった」と話す。特に、気弱でも優しいちいかわが好きで、「不安を乗り越える姿がいじらしく、優しさに慰められる」という。40代女性も「危険で生きづらい世の中で、泣きながらも何とか生きようとする私たちの現実が重なる」と語った。

大人のファン層は厚い。日本の市場調査会社GEM Partnersによると、ファンの平均年齢は約40歳で、30代が最多だった。韓国でもCGVの予約分析では、劇場版の予約者に占める20代の割合が47%に達した。

東アジアの大衆文化を研究する米ハワイ大学歴史学科のジェイソン・チャン教授は、英誌エコノミストで、幼児向けに見えても、実際には一週間を何とか乗り切ろうとする疲れた若者のための作品に感じられると評した。日雇い仕事で生計を立てる姿は、短期・臨時雇用を中心とする現代の労働市場に似ているとも分析した。同教授は「この作品は不安を笑いものにせず、ただ友達が助ける姿を見せる。それは不安な時代に、私たち皆が望んでいることだ」と述べた。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News