韓国の20~30代が「ちいかわ」に共感…かわいい姿に重なる就職難や日々の苦労
このニュースをシェア
「限定のラッコが残っているかと思って来ましたが、やはりありませんでした」
14日午前、ソウルの龍山アイパークモールにある「ちいかわショップ」は、平日にもかかわらず多くの客でにぎわっていた。午前10時半の開店と同時に、並んでいた人たちが入店し、その後も新たな列ができた。
韓国の20~30代の間で、日本のキャラクター「ちいかわ」が人気を集めている。「なんか小さくてかわいいやつ」という意味の韓国語の略称でも親しまれ、アニメや映画だけでなく、文具や中古取引市場にも人気が広がっている。
来店した31歳の客が探していたのは、イチゴ大福をかぶった姿の限定ぬいぐるみ「ラッコ」。韓国で人気の大福ブランド「ハンジョンソン」にちなんだ愛称で呼ばれている。
この客は「2万ウォン台(約2200円台)のぬいぐるみが、中古市場では20万ウォン台(約2万2000円台)で出品されている。5万ウォン台(約5500円台)の投稿を見て喜んだら、売りたい人ではなく、買いたい人の投稿だったこともある」と話した。
7日の入荷時には、前夜から並ぶ人もいた。ファンの間ではグッズを探しに行くことを、作品内の怪物退治になぞらえて「討伐に行く」と呼ぶ。
モール関係者によると、ショップの来店客は1日平均約1000人。映画公開前の9月20日ごろから約2倍に増えた。
9月30日に公開された劇場版「人魚の島」は、公開10日で観客動員100万人を突破。10月11日以降、興行ランキング1位を維持している。映画館チェーンCGVが発売したキャラクター型ポップコーン容器も、1次・2次販売分が完売した。
若者を引き付けるのは、かわいい姿とは対照的な現実味のある物語だ。小さく丸いキャラクターたちの世界は、決して平穏なだけではない。
生活のために働き、資格試験に挑んで失敗する。住宅の抽選に当たって家を手に入れる設定もある。草むしりやレモンへのシール貼り、怪物の討伐など、報酬を得るための労働が繰り返し描かれる。
劇場版も、高額報酬をうたう広告を見て島へ向かったキャラクターたちが、危険に陥るところから始まる。かわいい絵柄に不安や葛藤、スリラー要素が重なり、大人の共感を呼んでいる。
会社員(28)は「童話のような絵柄なのに、内容はそうではない。そのギャップが魅力だ。かわいいキャラクターが日々の苦労を経験し、成長する姿に愛着が湧く」と話した。
大学生(27)は「漫画に資本主義が染み込んでいる感じがする。ちいかわは家が当たって立派な場所に住む一方、ハチワレはお金がなく、扉もない洞窟で暮らしている。現代社会を映しているようだ」と語った。
困難を一緒に乗り越える姿も支持されている。2026年の秋夕にキャラクターをかたどった餅を作った会社員(28)は、「人間のように助け合う温かさがあり、感動することが多い」と話した。
文化評論家のハ・ジェグン氏は、大人が子ども向けの文化や玩具を楽しむ流れが広がり、アニメも成人の好みに目を向けていると分析。「ちいかわには日常の挫折など、大人が共感できる現実的な内容が多い。特に就職難などで厳しい時期を過ごす若者が、キャラクターに自分を重ねているようだ」と説明した。
(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News