北京に「ロボット幼稚園」開園 試行錯誤しながら成長
このニュースをシェア
【10月22日 東方新報】カラフルなコースを走ったり、低い障害物を乗り越えたり、電子皮膚を押されると「痛いよ」と声を上げたり――。9月に開園した北京市の首鋼園にある「ロボット幼稚園」では、さまざまな形をした10台以上のロボットが学習に取り組んでいた。あらかじめ正解を教え込まれるのではなく、試行錯誤を繰り返しながら能力を身に付けている。
北京・亦荘で開催された人型ロボットのハーフマラソン大会や世界人型ロボット運動会などを通じて、ロボットの運動制御や環境への適応能力は進歩を続けている。北京郵電大学(Beijing University of Posts and Telecommunications)人工知能学院の方斌(Fang Bin)教授は取材に対し、「子どもが実際の経験を通じて知能を発達させるように、ロボットも実践を通じて学ぶべきだ」と指摘した。現在、具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)の発展で重要なのは、物理的な環境や人間、ほかのロボットとの継続的な相互作用であり、そこから得られるデータを活用して能力を高めていくことだという。
今年9月、他山科技(Tashan Technology)と2024年のチューリング賞受賞者、リチャード・サットン(Richard Sutton)氏の研究チームが共同で設立した「ロボット幼稚園」が正式に開園した。
ここで学ぶロボットは、まず転倒や衝撃に耐えられるよう機体を改良し、さらに周囲の状況や接触を感知できる電子皮膚を装着する。こうした準備を経て、本格的な学習を始める。
他山科技の研究開発担当副総裁、侯広東(Hou Guangdong)氏によると、施設には「テストエリア」「学習エリア」「交流エリア」の3段階が設けられている。テストエリアでは、ロボットの指先に取り付けた電子皮膚が、加わる力の大きさや方向、温度を感知する。手足や胴体でも衝突や圧力を検知できるため、豆腐やポテトチップスなどの壊れやすいものも、形を崩さずにつかむことができる。
学習エリアには、乳幼児が遊ぶボールプールなど、柔らかい素材の遊具が多く配置されている。幼い子どもが最初に触れる物や環境を再現したものだ。周囲の環境からすぐに反応が得られない場合でも、ロボットは強化学習の仕組みに基づいて自ら行動を評価し、報酬を与えることで、好奇心に従って探索を続けることができる。
侯氏は「転倒も一つのフィードバックだ。何を避けるべきかをロボットに教えてくれる」と説明する。失敗と修正を繰り返すことで学習モデルが改良され、ロボットは次第に安定して歩いたり走ったりできるようになり、硬さの異なる物を自ら判断して持ち上げる能力も身に付けていく。
交流エリアでは、子どもが親の行動を観察したり、友達のまねをしたりして新しいことを覚えるように、ロボット同士が学び合い、協力することを目指している。例えば、人間が指示を出さなくても、互いの動きを観察し、次の行動を予測しながら連携することで、大きな物を協力して運ぶことができるようになるという。
中国情報通信研究院が発表した「具身型AI訓練施設研究報告(2026年)」によると、不完全な統計ながら、今年6月末時点で中国国内には70か所以上のロボット訓練施設が建設・稼働しており、さらに46か所が建設中または計画段階にある。
侯氏によると、一般的な訓練施設では、人間が実演した動作をロボットに模倣させ、学習用のデータを大量に収集することに重点が置かれている。これに対し、ロボット幼稚園では、自由度の高い環境でロボットが自ら周囲と関わり、試行錯誤を通じて学ぶことを重視している。子どもが遊びながら新しいことを覚えていくのと同じ考え方だ。
ただし、ロボット幼稚園はまだ実験的な段階にあり、研究チームは今後の技術の進展に応じて計画を柔軟に見直していく方針だ。方教授は「ロボット産業をマラソンに例えるなら、私たちはまだスタート直後の段階にいる。先は長い」と語る。その上で、将来的にはロボットがより幅広い分野で活躍し、生産活動や日常生活に深く関わることで、人間の作業負担を軽減し、社会に新たな価値を生み出すことが目標だと述べた。(c)東方新報/AFPBB News