【10月21日 東方新報】中国自然資源部の中国地質調査局は9月28日、海洋掘削船「夢想号」がこのほど、深海の海洋盆で玄武岩の試料採取に成功したと発表した。

「夢想号」は南シナ海での試験掘削を終え、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)に帰港した。今回が同船にとって初の海洋科学掘削となった。30日間にわたる航海では、南シナ海の水深4100メートルの海域で2か所の掘削と岩石試料の採取を実施し、海洋盆の玄武岩試料の採取に成功した。これにより、南シナ海の地質構造の変遷に関する科学研究や、岩石試料の採取システムの構築、中国製の主要掘削設備の実用化などで複数の成果を上げた。

今回の掘削では、海面からの最大掘削深度が4929.17メートル、最大掘削長が864.77メートルに達し、中国が独自に実施した掘削作業として、最大作業水深の記録を更新した。

研究チームは、自主開発した回転式の岩石試料採取装置を使用し、長さ4.27メートルの玄武岩の柱状試料(コア試料)の採取に成功した。これにより、中国は米国、日本に次いで、掘削船を使って深海の海洋盆から硬い岩石の試料を採取した世界で3番目の国となった。

また、国際的な海洋掘削と同水準の試料採取システムを構築し、複数回の採取作業でコア回収率が100%を超えた。試料採取の効率や品質、作業の安定性は、国際的にも先進的な水準に達したという。

研究チームは、超深海での難易度の高い掘削に対応するため、リスク管理と緊急時対応の体制も新たに構築した。船に搭載した深海用遠隔操作無人潜水機(ROV)を使い、長時間にわたる高負荷の連続共同作業を初めて実施した。2台のROVは水深約4000メートルで計358時間以上稼働し、1回の連続作業時間は最長103時間に達した。こうした作業能力も国際的な先進水準に達したとしている。

さらに、国際海洋掘削の基準に従い、採取した岩石試料の収集、整理、記録、切断、スキャン、サンプリング、測定、保管までの一連の工程を船上で初めて実施した。これにより、超深海での科学掘削に必要な一連の作業技術を確立した。

今回の航海では、貴重な岩石試料や観測データが多数得られた。初期の研究では、南シナ海の海底が拡大する過程で、拡大の中心となる海嶺の位置が移動した後、複数回にわたって大規模な火山噴火が起きていたことが確認された。

この成果は、南シナ海の海底拡大などの重要な科学的課題を解明するための有力な証拠となり、南シナ海の形成と地質学的な変遷に関する従来の認識を大きく変える可能性がある。

また、掘削によって、海洋で形成された赤色の地層と緑色から暗緑色の堆積層が交互に重なる地層が見つかった。海底下813~864メートルの地点では、砂と泥が交互に堆積した厚さ数十メートルの地層も確認された。この地層には、生物の活動によって堆積物がかき乱された痕跡が明瞭に残り、有機物も豊富に含まれていた。

中国が南シナ海の水深4000メートルを超える、陸地から離れた海域の深部地層で、こうした特徴を発見したのは初めてとなる。南シナ海の過去の環境変化の解明や、超深海におけるエネルギー資源の探査・開発にとって重要な意味を持つという。

今回の航海は、中国自然資源部の中国地質調査局が組織し、広州海洋地質調査局が実施を担当した。中国地質調査局、中国海洋石油田服務(COSL)、北京大学(Peking University)、中国船舶集団(CSSC)、中国地質大学(武漢)(China University of Geosciences)、海南大学(Hainan University)、海南熱帯海洋学院などの機関から、計170人の科学調査隊員が参加した。(c)東方新報/AFPBB News