【10月19日 CNS】1兆332億キロワット時――。

2026年8月、中国の社会全体の電力消費量は再び1兆キロワット時を突破し、最大電力需要も15億6000万キロワットと過去最高を記録した。これで中国の電力消費量は2か月連続で1兆キロワット時を超えた。経済活動の「バロメーター」とされる電力消費量からは、中国経済の活力と底堅さがうかがえる。

ただ、総量の記録以上に注目されるのは、1兆キロワット時を超える電力がどこで使われているかだ。中国国家能源局のデータによると、8月の社会全体の電力消費量は前年同月比1.7%増だった。台風や大雨などの影響でエアコンの使用が減少し、都市・農村住民の生活用電力は4.0%減となった一方、産業部門の電力消費は堅調だった。

第1次、第2次、第3次産業はいずれも電力消費量が増加した。最大の電力消費部門である第2次産業は2.4%増、このうち工業部門は2.7%増となった。特に目立つのがハイテク・設備製造業だ。8月の電力消費量は1222億キロワット時に達し、前年同月比7.2%増と、工業全体の2倍を超える伸びを示した。

業種別では、電気機械が12.3%増、専用設備が8.2%増、汎用設備と自動車製造がそれぞれ7.6%増、コンピューター・通信関連が7.5%増となった。中でも新エネルギー車(NEV)の完成車製造は22.2%増と大幅に伸びた。こうした技術集約型産業が新たな成長のけん引役となっている。

経済活動の活発さを測る重要な指標の一つである第3次産業は、3つの産業の中で電力消費量の伸びが最も高かった。8月は前年同月比5.1%増、1~8月では前年同期比7.1%増となった。

このうち、EV向け充電・バッテリー交換サービスは8月に51.2%増、インターネット・データサービスは37.9%増となった。これらの数字は、新エネルギー車の急速な普及とデジタル経済の成長を反映している。

新旧の成長エンジンの交代によって、中国の電力消費の構造も変わりつつある。かつて大量の電力を消費する産業といえば、鉄鋼やセメント、化学工業が代表的だった。しかし現在、新たな電力需要の伸びを支えているのは、ハイテク製造業やデジタルインフラ、新エネルギー関連などの新興分野だ。

こうした変化は、新たな成長分野が工業成長の主要なけん引役になりつつあることを示している。中国国家統計局のデータからも同様の傾向が読み取れる。1~8月、ハイテク製造業やデジタル製品製造業など新たな成長分野は、一定規模以上の工業企業の付加価値額の伸びに対する寄与率が50%を超えた。1~7月と比べても2ポイント以上上昇し、工業成長を支える役割が一段と強まっている。

投資資金の流れにも変化が表れている。1~8月のハイテク産業への投資は前年同期比5.2%増となり、累計の伸び率は3か月連続で加速した。政策による後押しと市場需要の拡大を背景に、中国各地では新興産業や将来産業への投資が加速しており、「新質生産力」と呼ばれる新たな生産力の分野に資金が集まる傾向が鮮明になっている。

現在、電力消費という「バロメーター」が示すのは、中国経済の景気動向だけではない。どのような産業が新たな成長を支えているのかという、経済成長の中身そのものも映し出している。

半導体やコンピューティング能力、新エネルギー車といった分野に向かう電力は、より高い生産性や技術力、産業の持続的な成長につながっていく。経済を支える電力需要の中心が技術集約型産業へと移ることで、電力利用による経済効果が高まるだけでなく、産業の高度化を継続する力にもなる。そこには、中国経済の成長のあり方そのものが変化しつつある姿が表れている。

電力消費の内訳に表れた変化は、「新質生産力」が着実に根付き、中国経済の構造転換と高度化が進んでいることを映し出している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News