国会外交統一委員会の国政監査で答弁するチョン・ドンヨン(鄭東泳)統一相=10月7日、ソウル(c)news1
国会外交統一委員会の国政監査で答弁するチョン・ドンヨン(鄭東泳)統一相=10月7日、ソウル(c)news1

【10月13日 KOREA WAVE】韓国政府が、北朝鮮住民との接触に関する届け出について、統一相の「受理拒否権」を廃止する南北交流協力法改正案を支持する立場を示した。届け出制が事実上の許可制として運用されてきたとの批判を解消し、民間交流の自主性を広げる狙いだ。一方、安全保障上の危険を事前に把握した場合、接触をどう制限するかは課題として残る。

野党「国民の力」のアン・チョルス(安哲秀)議員側が統一省から受け取った書面回答によると、政府は祖国革新党のキム・ジュニョン議員が提出した改正案を受け入れる方針で、法務省と国家情報院も同じ立場だという。

現行法は、北朝鮮住民と接触する場合、統一相への事前の届け出を義務づけている。南北交流・協力や国家安全保障、秩序維持、公共の利益を損なう明白な恐れがあれば、統一相は受理を拒否できる。改正案はこの条項を削除し、形式的な要件を満たして届け出れば、政府の受理を待たずに接触できるようにする。届け出の対象も、南北交流・協力を目的とする直接接触に限定する。代わりに接触後の結果報告を法的義務とし、未提出や虚偽の報告には300万ウォン(約33万円)以下の過料を科す。

改正案は国会外交統一委員会の法案審査小委員会で審議待ちとなっている。背景には、拒否理由が包括的で、政府が民間の接触を広く制限してきたとの問題意識がある。チョン・ドンヨン統一相は2025年7月、事実上の許可制として運用する慣行を改めるとして、内部の接触届け出処理指針を廃止した。今回の改正は、拒否の法的根拠も撤廃するものだ。

2022~2025年に受理を拒否した90件のうち、74件、82.2%は「現在の南北関係の状況などを考慮」が理由だった。「国家安全保障」という項目はなかったが、統一省当局者は、安保上の懸念などを含めてこの表現を使ったと説明しており、安保を理由とする拒否がなかったとは断定できない。統一省は、改正後も事前の届け出で相手や目的、方法を把握でき、書類に不備があれば補完要求や差し戻しが可能だとする。事後報告や過料、国家保安法などによる対応も管理手段に挙げる。ただ、形式的要件を満たした接触に具体的な安保リスクが見つかった場合、書類の補完と接触自体の制限は別問題だ。

統一省は、北朝鮮の工作機関関係者などとの接触でも、実際の安保侵害行為が確認されれば関連法令で厳正に対応すると説明したが、接触前の具体策は示していない。国家情報院と法務省は2025年9月時点で、管理の空白や北朝鮮の対南工作への悪用などを懸念していた。しかし、2026年2月の関係省庁協議では異論を撤回し、統一省の政策方針を尊重するとした。従来の懸念がどう解消されたかは、説明から明らかになっていない。

事後管理にも課題がある。過去10年間の結果報告対象1436件のうち、725件、50.5%で報告書が提出されていない。ただし、接触が実現しなかった事例も含まれるため、実際の接触後の報告漏れの割合とはいえない。過去5年間、未提出を理由に過料を科した例もなかった。

改正案は報告を法的義務に変えるが、接触が中止された場合や未提出時の対応など、具体的な執行基準も必要となる。東国大学北朝鮮学研究所のハ・スンヒ研究招聘教授は、拒否権の廃止よりも、接触の目的や相手の役割などに基づき、制限要件を具体化するよう提言している。アン議員も、監視や情報収集による事前の警告・備えが統一省の役割だとして、対策を求めた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News