「共に民主党」のパク・ギュンテク議員=議員事務所提供(c)MONEYTODAY
「共に民主党」のパク・ギュンテク議員=議員事務所提供(c)MONEYTODAY

【10月12日 KOREA WAVE】韓国で、行政機関の違法・不当な処分から権利や利益を守るための行政審判制度が、一部の収容者に乱用されていることが分かった。刑務所長に料理や菓子の支給を求めるなど、権利救済とは関係のない申立てが繰り返され、矯正当局の人員や時間が費やされているという。

2022年、監禁致傷や児童・青少年の性的搾取映像の制作・配布などの疑いでソウル拘置所に収容された人物は、2023年から行政審判の申立てを繰り返した。2024年10月には洪城刑務所長を相手に、トランプ米大統領の電話番号に関する情報の不存在決定を取り消すよう求めた。同年11月には春川刑務所長に「春川タッカルビ」の支給義務を履行するよう要求した。ソウル拘置所長に対しては、菓子「ペペロ」の支給を求め、12月には戒厳令解除要求決議の取り消しを申し立てた。これらはいずれも、審理の要件を満たさないとして却下された。

矯正当局によると、この収容者が2023~2025年に申し立てた行政審判は975件に上る。自ら取り下げたものが294件、審理の結果、請求が認められなかった棄却が170件、却下が495件だった。

国会法制司法委員会に所属する与党「共に民主党」のパク・ギュンテク議員が法務省から受け取った資料によると、収容者による行政審判・行政訴訟は2022年以降、増加傾向にある。2022年は382件だったが、2023年は610件、2024年は1191件、2025年は1060件となった。2026年も8月までに707件が受け付けられている。

行政審判は無料で、手続きが簡単なうえ、迅速に処理されるという特徴がある。費用がかからないことが、刑務所長などへの申立ての乱発につながっていると分析される。2022年以降の行政審判で申立てが認められたのは5件にとどまり、大半は却下か棄却だった。申立人が自ら取り下げるケースも30%を超える。

矯正当局は対応に行政力を割かざるを得ず、適切に処理しなかったとして職員が告訴・告発されることもある。法務省によると、2022年から2026年8月までに矯正職員への告訴・告発は計3114件に上り、対象となった職員は6331人だった。パク議員は「収容者であるという理由で、正当な権利救済の機会が制限されてはならない」と強調した。

一方、権利救済と無関係な反復・乱用申立てにも個別に対応する仕組みは、改善が必要だと指摘した。不要な対応に人員や時間が費やされれば、収容者の処遇や矯正・更生に向けた業務に投入できる力が減るためだ。同一・類似内容の繰り返しや、明らかに権利救済を目的としない申立てを迅速に見極める基準を設け、常習的な乱用には適切な制限や制裁を検討するよう求めた。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News