北朝鮮まで望む韓国最北端の「黄金漁場」…NLLから1.8キロで漁師の暮らし守る
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「船の向こうに見えるのが北朝鮮の海金剛で、その奥が金剛山の端です」
7日午前6時すぎ、韓国・江原道高城郡沖の最北端の海。束草海洋警察の警備艇「P-21」から北を望むと、暗闇が薄れた水平線の先に山並みが浮かんだ。朝日に照らされた北朝鮮の海金剛と金剛山を前に、高城の小さな漁船が忙しく動いていた。
地図では南北を隔てる線が明確だが、海に線はない。海洋警察の関係者は、漁船が越えてはならない操業限界線を指し示した。そのさらに北には北方限界線(NLL)がある。
警備艇が向かったのは、韓国の日本海側で最北端に位置する「黄金漁場」、猪島漁場だ。
沖に広がる面積15.6平方キロの漁場は、1972年4月に初めて開放された。毎年4月初めから12月末まで、地元漁業者の操業が認められる。
NLLからわずか1.8キロ。タコ、ナマコ、ムール貝、海藻、カニなどが豊富な漁場であると同時に、南北が接する安全保障の最前線でもある。
午前5時半ごろ、警備艇は巨津港を出航した。海洋警察に加え、陸軍と海軍の関係者も乗り込んだ。最近の対北朝鮮情勢を踏まえ、漁船の安全管理と関係機関の連携を現場で確認するためだ。
時速約40キロで北へ進み、約30分で漁場に到着した。東の水平線が赤く染まり、北には海金剛と金剛山が一望できた。
午前6時半ごろ、入漁する船の確認が始まった。確認を終えた46隻は、好漁場を先に確保しようと一斉に速度を上げた。静かだった海は、たちまち活気づいた。
2026年は4月9日の開放から182日間のうち、この日が実際に操業できた119日目。入漁した船は累計4234隻に達した。
海には境界を示す線も柵もない。漁師たちは見えない境界を意識しながらタコ漁を続ける。操業限界線より北のNLL周辺は海軍が警戒している。
漁師にとって、この海は接境地域である前に生活の場だ。延縄漁船では次々とタコが引き上げられた。
漁業者のイ・ホンジュンさんは「今日は潮があまり動かず、漁はそれほど良くなさそうだが、猪島漁場なので期待して来た。たくさん取れることが一番の願いだ」と話した。
北朝鮮を目前に操業する怖さを尋ねると、「最初はあったが、今はない。海洋警察などが毎回守ってくれ、問題があればすぐ撤収するので、安全に操業している」と淡々と答えた。
その間、操舵室では無線が飛び交った。束草海洋警察のシン・ギョンジン署長が海軍の警備艇に操業限界線付近の異常を尋ねると、「現在、異常ありません」と応答があった。陸軍の東湖大隊からも同じ回答が返った。
海では海洋警察と海軍、陸では軍の監視網が漁船の位置と接境海域を見守る。近くの北方漁場でも6隻が操業していた。
今回の合同点検は、南北接境地域の緊張が再び高まるなかで実施された。9月21日には西部戦線の非武装地帯(DMZ)で、捜索路を開く作戦中の韓国軍兵士が地雷爆発で負傷した。
陸上の事故とこの日の漁は直接結びつくものではない。それでも、陸では軍が軍事境界線を警戒し、海では漁師がNLL近くで生業を続けている。
シン署長は、関係機関の対応と連携に不備がないか確認したと説明し、今後も漁船保護に隙が生じないよう警備を徹底すると強調した。
午前7時半ごろ、警備艇が巨津港へ向きを変えても、漁は続いていた。軍と海洋警察が北を見守るなか、漁師たちは海金剛を背に日々の仕事を続けていた。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News