■延期に対する異なる見方

ファタハから分派した組織を率いるムハンマド・ダーラン氏は、選挙延期を「民主主義に対する犯罪」と非難した。

ガザ地区出身でアラブ首長国連邦(UAE)を拠点とするダーラン氏は声明で、「アッバス議長と、その周囲で私腹を肥やす人々は、パレスチナ自治政府の機関を私物化している」と批判した。

また、左派政党パレスチナ解放民主戦線(DFLP)の元幹部でジャーナリストのイスマト・マンスール氏も、選挙実施に対するイスラエル側の制約は当初の日程が決まった時点で既に分かっていたと指摘し、延期には他にも理由があるとの見方を示した。

マンスール氏はパレスチナの他勢力に向けたフェイスブックの動画で、「今回の延期を説明できるのは、あなたたちが選挙を恐れているということだけだ。選挙を実施するのが怖いのだ。国民に発言権を与えたくないのだ」と述べた。

一方、パレスチナの政治アナリスト、ガッサン・ハティーブ氏は異なる見解を示し、イスラエルが「選挙の実施を困難にしている」ため、当初から選挙が行われるとは思っていなかったとAFPに語った。

パレスチナ自治政府の元閣僚でもあるハティーブ氏は、ガザ地区の壊滅的な被害や続く流血、ヨルダン川西岸でのイスラエル軍の作戦や入植者による暴力を挙げ、「延期の理由がパレスチナ内部の政治にあるとは思わない」と述べた。

イスラエルが1967年に占領し、その後併合した東エルサレムにも多くのパレスチナ人が暮らしている。パレスチナ自治政府は、東エルサレムの住民も選挙で投票すべきだとしているが、イスラエルが同地での選挙実施を認めていないとして非難している。

選挙の実施は、欧州連合(EU)を含む国際社会がパレスチナ自治政府に求めている改革の一つ。

パレスチナ自治区で最後に議会選が行われたのは2006年。この時はハマスが、パレスチナ自治政府で主導権を握るファタハに勝利した。

その後、両勢力の対立は武力衝突に発展し、ハマスがガザ地区の実権を掌握。ヨルダン川西岸のファタハとの分断が生じたこの結果、パレスチナ自治政府の議会に当たるパレスチナ立法評議会は、2007年以来開かれていない。

アッバス議長は2005年の前回大統領選で勝利した。任期は2009年に満了するはずだったが、それ以降は議長令による統治を続けている。(c)AFP/Louis BAUDOIN-LAARMAN