【10月12日 東方新報】中国・浙江省(Zhejiang)紹興市(Shaoxing)の西湖社区(コミュニティー)では、多くの高齢者がプラスチック製の結束バンドを使って手提げかごを編んでいる。地元に伝わる昔ながらの手仕事だが、従来のかごは1個6元(約140円)という安さでも、ほとんど売れなかった。

そこで地元では最近、住民の収入向上を目的とする工房を設立し、複数の地元大学と連携。若者のデザイン力を取り入れ、昔ながらのかごを現代風に生まれ変わらせる取り組みを始めた。

工房に並ぶ新しい手提げかごは、従来の買い物かごとは大きく印象が異なる。若者に人気のキャラクター柄を取り入れたほか、形や色使いも工夫した。編み方は昔ながらのままだが、新しいデザインのかごは人気商品となっている。

作っているのは、紹興市の西湖社区に暮らす高齢者たちだ。長年培ってきた編み物の技術を持つ一方、以前作っていたかごは大きく幅広い昔ながらの形で、用途も限られ、色使いも単調だった。そのため、わずか6元で販売しても買い手は少なかった。

地域の職員が住民を訪ねる中でこの状況を知り、伝統的なかごを現代風に変えることを発案。大学と連携して、若者のアイデアを取り入れた。浙江農業商貿職業学院の学生、姚慧(Yao Hui)さんは「まずデザイン案を作り、大学のサークルの学生たちに見てもらって評価してもらいます。評価が高ければ、実際の商品に取り入れます」と説明する。

若者が加わったことで、かごは小型化され、鮮やかで明るい色使いも採用された。さらにバケツ型バッグやトートバッグなどさまざまなタイプが登場し、普段着や通勤時にも合わせやすいデザインになった。

新商品をより多くの人に知ってもらうため、地域では専門の運営チームとも連携し、ショート動画やライブ配信を活用して販売を促進している。現在、「西湖兜籃」と呼ばれる商品の価格は数元から十数元(数百円)、高いものでは100元(約2350円)を超える。今年5月以降だけで約2000個を販売した。収益の80%は製作を担当する高齢者に還元され、残る20%は地域の基金に充てられている。これにより68人の高齢者が地元で仕事を得た。代々受け継がれてきた小さなかご作りの技術が、新たなアイデアによって再び活気を取り戻している。

同じように、伝統技術を現代風に生まれ変わらせる動きは、重慶市巫渓県でも進んでいる。同県文峰鎮長興村では、故郷に戻って起業した劉秀果(Liu Xiuguo)さんが、地元に豊富に自生するヤシ科の植物の繊維を利用した編み物工房を開設。次第に姿を消しつつあった伝統的な手仕事を、現代の暮らしに取り入れている。

工房には、昔ながらのほうきだけでなく、ベッド用ブラシや帽子、小さなアクセサリーなどさまざまな手編み製品が並ぶ。いずれも素朴さを残しながら、現代的なデザインが取り入れられている。

劉さんは「昔ながらのほうきを作るだけでなく、さまざまな新商品も開発しています。例えば、かつて使われていた蓑をより現代的なデザインに変え、映画や写真撮影の小道具として使えるようにしました。文化・クリエーティブ商品も開発しています」と話す。

山間部に位置する巫渓県には、編み物の材料となる植物が豊富にある。地元では、その葉を天日干しした後、繊維を整えて柔らかくし、丈夫でしなやかな繊維に加工して、さまざまな生活用品を手作りしてきた。

しかし、山深い地域で作られる手工芸品は販路が限られ、長年、地元以外ではほとんど知られていなかった。そこで劉さんは、ショート動画やライブ配信を始め、商品をインターネットで販売するようになった。

河北省(Hebei)唐山市(Tangshan)灤南県の張麻湾村では、昔ながらの羽根ばたきがネットで注目を集めている。ライブコマースによって販路が広がり、高齢者の収入増加にもつながった。さらに、羽根ばたき作りそのものが観光客向けの体験プログラムとなり、伝統技術を次世代へ伝える機会にもなっている。

ライブ配信では、張麻湾村の劉文豪(Liu Wenhao)党支部書記が村民とともに、手作りの羽根ばたきを紹介している。2024年から村民とともに伝統の技をインターネットで発信し始めると、長らく注目されていなかった羽根ばたき作りが急速に話題となった。現在では、高齢者たちも製作だけでなく、ライブ配信への出演や観光客の受け入れに参加している。

張麻湾村では、羽根ばたき作りの技術が長年受け継がれてきた。かつては農閑期に家計を補うための仕事で、朝早くから夜遅くまでかけて1本作っても、売値はわずか0.3~0.5元だった。市が立つ日には多少多く売れたものの、生活を支える程度の収入にしかならなかった。その後、掃除用品が多様化すると、羽根ばたきは人々の暮らしから一時、姿を消しつつあった。

ところが近年、ショート動画の普及を受け、村の若者たちが動画投稿に挑戦。最初に投稿した羽根ばたきの製作動画が60万回以上再生された。張麻湾村には60歳以上の高齢者が200人以上暮らしている。高齢者の収入を増やし、伝統技術を受け継いでいくには、商品のあり方を変える必要があった。

そこで村の若者たちは知恵を出し合い、伝統技術を生かした新たな雑貨作りに乗り出した。熟練職人が手作業による製作を担い、若者がデザインを担当。車内用の飾りやバッグチャーム、卓上インテリア、猫じゃらしなど、現代の暮らしや好みに合わせた商品を次々と生み出している。(c)東方新報/AFPBB News