【10月8日 AFP】スペイン保守派(中道右派)の野党・国民党(PP)のアルベルト・ヌニェス・フェイホー党首は7日、11月29日の前倒し総選挙に向けた選挙運動を、北アフリカにあるスペイン領の飛び地セウタで開始し、不法移民危機に陥っている同市を優先すると表明した。

国民党は多くの世論調査で首位に立っている。

セウタには7月30~31日、国境を接するモロッコから不法移民7万人以上が押し寄せ、死者も出た。前例のない規模の流入を受け、セウタをめぐる問題はスペイン政治の最重要課題となっている。

不法移民の大半は数時間以内にモロッコへ戻ったが、数千~1万数千人が残留し、路上や海岸で寝起きするなど、劣悪な環境に置かれている。

不法移民危機が長期化する中、ドナルド・トランプ米大統領やイスラエルと対立し、世界中の左派から英雄視されている穏健左派・社会労働党のペドロ・サンチェス首相の支持率は低下している。

セウタの住民約8万4000人の多くが、サンチェス政権に見捨てられたと非難し、不法移民の速やかな強制送還を求めてデモを繰り返している。

フェイホー党首は、セウタを選挙運動の開始地に選んだ理由について、同市に「平常」を取り戻すという「公約を明確に示すため」だと説明した。

「セウタは、われわれが決別しようとしている過去の一章の例外ではない。この国が陥った衰退と腐敗、うその表れだ」と述べた。

さらに、サンチェス氏の不法移民危機への対応を改めて批判し、政権を奪取した場合、セウタ問題に「最優先で対応する」と述べた。

サンチェス氏率いる左派連立政権は、不法移民をモロッコに送還する前に、一人一人について難民認定の対象となるかを確認する義務があると主張している。また、今回流入した保護者の同伴がない未成年者数百人については、直ちに強制送還することができない。

総選挙は当初2027年に予定されていたが、サンチェス氏は5日、全国に広がる住宅危機への対応として出した緊急政令が下院で否決されたことを受け、下院を解散し、11月29日に総選挙を実施すると発表した。

住宅危機は、87歳の年金生活者の女性が首都マドリードで70年間暮らした賃貸住宅から強制退去させられたことをきっかけに始まり、今やセウタの不法移民危機をしのぐ最大の政治的争点となっている。(c)AFP