仁川空港本部税関で公開された偽造「マンジャロ」や「ウゴービ」などの押収品=2026年9月17日 (c)news1
仁川空港本部税関で公開された偽造「マンジャロ」や「ウゴービ」などの押収品=2026年9月17日 (c)news1

【10月07日 KOREA WAVE】韓国で、肥満症治療などを目的に「マンジャロ」の処方を受けるため日本を訪れる「スシジャロ」(「すし)」と「マンジャロ」を組み合わせた造語)が広がっている。韓国関税庁は、食品医薬品安全処の許可を受けていないマンジャロの持ち込みを摘発しており、2026年は8月までに5030件に達した。

背景には日韓の価格差がある。マンジャロ2.5ミリグラムの1カ月分は韓国で30万ウォン(約3万4000円)前後だが、日本では6万~8万ウォン(約6900~9200円)程度と、韓国の4~5分の1の水準だという。

日本ではマンジャロが糖尿病治療薬として価格が低い水準に設定されている。円安も重なり、往復の航空運賃を考慮しても安いとの口コミが広がり、日本旅行中に購入したり、入手を目的に訪日したりする人が増えている。

SNSやオンラインコミュニティーでは購入先や体験談の投稿が相次ぎ、日本の医療機関による韓国人向けの宣伝もみられる。「韓国の方歓迎」と掲げ、韓国語通訳やホテルへの配送、旅行日程に合わせた配送などをうたうほか、オンライン診療や12.5ミリグラム、15ミリグラムといった高用量、6カ月分の処方が可能と宣伝するケースもある。

一方、韓国食品医薬品安全処の許可を受けていないマンジャロの持ち込みは現行法上、違法とされる。海外から持ち込まれるマンジャロは、同処が関税庁に通知した有害医薬品に指定されている。

税関はエックス線検査や開封検査を実施し、輸入要件を満たさない場合は返送または廃棄している。密輸入などの法令違反が確認されれば、調査や処罰の対象となる。マンジャロなど肥満症治療薬の摘発件数は2024年の4件から2025年には1189件に急増した。

安全面への懸念もある。マンジャロは原則として2~8度での冷蔵保存が必要で、流通時には品質を維持するコールドチェーンが使われる。個人が航空機の手荷物などで運ぶ場合、適切な温度を維持できず品質が変化する恐れがあるという。

江北サムスン病院家庭医学科のカン・ジェホン教授は、適切な食事や運動の指導を伴わなければ筋肉量の減少などが起きる可能性があると指摘した。運搬時の品質に加え、数カ月分を一度に処方された場合は使用期限や、医師による効果、副作用の継続的な確認にも懸念があるとしている。

韓国内では、価格負担を軽減するため肥満症治療薬にも公的医療保険を適用すべきだとの意見もある。カン・ジェホン氏は保険適用の必要性を指摘する一方、保険財政への負担も考慮する必要があると述べた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News