【10月7日 AFP】英国の左派政党「緑の党」は4日、党大会で、シオニズム(ユダヤ人が祖先の地であるパレスチナに国家を建設・維持することを目指す思想および政治運動)を「人種差別(レイシズム)」と定義する決議案を賛成1022、反対813で可決した。これに対し、英国の主要ユダヤ系団体3団体や与党・労働党、さらにはイスラエル政府は猛反発している。

緑の党は、下院(定数650)に5議席を持ち、最近の地方選や補欠選で支持を伸ばしている。

イスラエル外務省は本決議を「明確な反ユダヤ主義的テキスト」と批判。ギドン・サール外相は同日夜、報復措置として緑の党のザック・ポランスキー党首のイスラエル入国を禁止すると発表した。

決議によると、シオニズムは「他のあらゆる形態の人種差別と同等に扱われる」とし、党として「歴史的パレスチナの全土における単一の民主的なパレスチナ国家」の樹立を支持するとしている。

緑の党はポランスキー党首の下で急速に支持を伸ばしており、中道左派・労働党政権のイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘に対する姿勢に不満を抱く同党支持層を取り込んできた。

だが世論調査によると、ポランスキー氏の人気はここ数か月、度重なる失言や政治的失策によって下落傾向にある。

英国内の主要ユダヤ系団体3団体は採決に先立ち緑の党に送付した書簡で、「この決議案が可決されれば、緑の党は記憶にある限り英国の主要政党として初めて、公然と反ユダヤ主義的な綱領を採用する政党となってしまう」と警告していた。

■イスラエル激怒

イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領は、緑の党の決定を「恥ずべきものだ」と非難した。

ヘルツォグ大統領はX(旧ツイッター)で、「シオニズムとはユダヤ人の民族解放運動であり、イスラエルの地においてユダヤ人が自らの国家とナショナル・ホームを持つ権利の根幹をなすものだ」と強調した。

与党・労働党の議長を務めるブリジット・フィリップソン女性・平等相も、緑の党の決定を批判。

同氏は党としての声明で、「イスラエルとパレスチナの『2国家解決』に反対票を投じ、イスラエルの存続権を支持する英国および世界中のユダヤ人の大多数を『人種差別主義者』と非難するのは恥ずべき行為だ」と述べた。

今回の決議は緑の党の分断を浮き彫りにしており、ポランスキー党首は採決を棄権した。

所属する下院議員5人のうち少なくとも3人が決議案に反対したにもかかわらず、ポランスキー党首は今週、「パレスチナ人の強制移住やジェノサイド(集団殺害)は、明確な人種差別だ」と断言していた。

国連の調査官らは、イスラエルがガザでの戦闘において「ジェノサイド」を行っていると批判しているが、イスラエル側は否定している。(c)AFP