【10月10日 東方新報】日本の人気アプリ「旅かえる」の中国版「旅かえる・中国の旅」の運営チームは9月8日、「IPライセンス契約の終了に伴い、2026年12月8日をもってサービスを終了する」と発表した。発表当日の9月8日には、すべてのプラットフォームでダウンロードが停止された。なお、日本版は現在も通常通りサービスを続けている。

「旅かえる」は、日本のゲーム会社ヒットポイント(Hit-Point)が開発した放置系スマートフォンゲーム。2018年初め、日本語版が中国のゲームファンの間で口コミを中心に人気を集めた。同年4月、阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)はヒットポイントとの戦略的提携を発表し、中国本土における「旅かえる」の独占代理権を取得。中国版「旅かえる・中国の旅」が正式にリリースされた。

ゲームの主人公は、一人暮らしをする小さなカエル。シンプルで爽やかな世界観が特徴で、プレイヤーは毎日クローバーを収穫し、カエルのために食べ物や旅の荷物を用意して、旅へと送り出す。旅に出たカエルは、訪れた場所の風景や旅先で出会った友達の様子を、絵はがきにしてプレイヤーのもとへ送ってくれる。

中国版では、旅先が異なるほか、日本語版をベースに家具のDIY、博物館のコレクション機能、ショップでのアイテム売買など、さまざまな要素が追加された。こうしたゲーム性が、若者たちの「誰かに寄り添ってほしい」という気持ちを捉えた。

その人気は数字からも明らかだ。2018年、中国市場での累計インストール数はわずか10日間で2000万件を突破。最盛期には1日のアクティブユーザー数が763万人に達し、1日当たりの新規ユーザー数は最高で40万人に上った。

中国のプレイヤーたちは、小さなカエルを親しみを込めて「わが子」「カエルの息子」などと呼んだ。ゲームを起動するたび、「旅に出た我が子」から届く絵はがきを楽しみにし、いつの間にかカエルが家に帰ってきていることに驚き、喜んだ。

今、多くのプレイヤーにとって、まだまだ世話を焼き、愛情を注いであげたい存在だった小さなカエルが、遠く、遠くへ旅立とうとしている。9月8日、中国のSNSにはサービス終了を惜しむ声が相次いだ。あるプレイヤーは「思わず『うわーん』と泣いてしまった」と投稿した。すぐにゲームを起動し、自分のカエルがクローバーに水をやっている姿を見た人や、まだ怒っているカエルの姿を目にした人もいた。また、夜中に日本語版をダウンロードし、「初めてこの子に出会った頃に戻ったような気がする」と語るプレイヤーもいた。

SNSに投稿されたメッセージには、さらに胸を打つものが多く見られた。小紅書(Red)ユーザー「天下最可愛果果」は、次のように書き込んだ。

「家具もまだ全部そろえてあげられていないし、中国の地図もまだ回りきっていないのに……もうお別れなの? 幸福果(カエルにつけた名前)、これからリュックいっぱいに食べ物を詰めてあげられなくなっても、旅先でちゃんとやっていけるよね。これからは写真も届かなくなるんだね。人って、失いそうになって初めて大切さに気づくものなんだね。幸い、あなたはカエルだから、悲しまないよね」

SNSプラットフォームの微博(ウェイボー、Weibo)ユーザー「無名不是無極」は、こうつづった。

「特別な食べ物や珍しい花を、ずっと記念に残そうと大切に取っておいた。でも今は、好きなだけ使っていい。どこへ旅行して、どんな写真を送ってくれてもいい。私たちは、もうさよならしなきゃいけないんだね。私はあなたとさよならしたくない」

小紅書ユーザー「人類生活流水帳」も、「去年からプレイしていなかったけれど、さっき『旅かえる』がサービス終了すると知って、もう一度ダウンロードして最後にお別れを言おうと思った。でも、もうダウンロードできなくなっていた。人って、いつが最後になるのか、その時には分からないものなんだね」と投稿した。

「旅かえる」が、姿を消す最初のゲームというわけではない。「QQペット」「QQ堂」「ハッピーファーム」「泡泡堂」など、中国で一世を風靡したゲームは数多くある。さらに、米ゲーム大手ブリザード・エンターテイメント(Blizzard Entertainment)が手掛けた複数の人気タイトルも含め、インターネットやモバイルゲーム市場の変化に伴い、近年ではサービスを終了したり、アップデートを停止したりするゲームが増えている。

あるゲーム開発会社の責任者は、「すべてのゲームにはライフサイクルがある。例えばソーシャルゲームの場合、一般的なライフサイクルは1~2年程度。モバイルインターネット市場ではチャンスが瞬く間に過ぎ去るため、迅速に変化へ対応しなければ生き残れない」と話す。

同じ「電子ペット」系ゲームの「QQペット」を見ても、2018年9月末、長年運営されてきたオリジナル版が正式にサービスを終了した。今年7月27日には、新版「QQペット」が本格的に復活した。多くの「90後(1990年代生まれ)」や「00後(2000年代生まれ)」のユーザーが、新たに迎えたペットの姿をSNSに投稿し、青春時代の記憶が再びよみがえったと感慨をつづった。

注目されるのは、新版「QQペット」が全面的に3D化されたほか、大規模言語モデル(LLM)をより深く取り入れ、モバイルインターネットとAIの時代における「バーチャルな寄り添い」の新たな可能性を模索している点だ。

一方、「旅かえる・中国の旅」は8年余りをかけ、社会現象となるほどの大ヒットからサービス終了まで、一つのライフサイクルを歩んできた。小さなカエルと過ごす時間は、これで終わりを迎えることになるのかもしれない。それでも、プレイヤーたちの心に残された一つひとつの「癒やしの物語」は、これからも消えることはないだろう。

私たちの青春に寄り添ってくれた小さなカエルに、今は静かに別れを告げる時なのかもしれない。(c)東方新報/AFPBB News