【10月9日 CNS】中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)の株価が9月15日、大幅に下落し、下落率は6%を超え、約1年ぶりの安値をつけた。今年5月7日に年初来高値をつけてから4か月余りで、株価は30%以上下落している。こうした資本市場の動きの背景では、自動車産業のサプライチェーンに大きな変化が起きている。自動車メーカーが、電池メーカーへの依存を減らそうとしているのだ。

最近、新エネルギー車メーカーの間では、車載電池をめぐる新たな動きが相次いでいる。9月4日、電池メーカーの訢旺達(Sunwoda)は、理想汽車(Li Auto)が傘下の訢旺達動力に26億5000万元(約622億7579万円)を増資する計画を発表した。その数日後、理想汽車は、自社開発する電池を今後すべての車種に搭載すると発表した。

ほぼ同じ時期、小米汽車も「龍甲電池」の発表会を開き、中創新航科技(CALB)および欣旺達動力との戦略的提携を発表した。これに先立ち、上海蔚来汽車(NIO)は上海市で新たな電池研究開発拠点の建設を進めているほか、小鵬汽車(XPeng)も中創新航や億緯リチウムエナジー(EVE Energy)との関係を深めている。一連の動きが示している方向は共通している。自動車メーカーが車載電池の調達先を多様化し、業界最大手CATLへの依存度を引き下げようとしていることだ。

4年前、当時広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)の董事長だった曽慶洪(Ceng Qinghong)氏は、車載電池のコストが自動車全体の40~60%を占めるとして、「これでは私はCATLのために働いているようなものではないか」と冗談交じりに語った。

しかし4年後の現在、この言葉は単なる冗談では済まされない状況となっている。自動車メーカーと上流の電池メーカーとの間で、収益力に大きな差が生じているためだ。財務データを比較すると、2026年上半期のCATLの親会社株主に帰属する純利益は432億8400万元(約1兆171億円)で、前年同期比42%増加した。1日平均では約2億4000万元(約56億4000万円)を稼いだ計算になる。一方、同じ期間に中国本土と香港市場に上場する主要自動車メーカー15社の親会社株主に帰属する純利益を合計しても210億4800万元(約4946億3431万円)で、CATLの半分にも届かなかった。

中国自動車流通協会乗用車市場情報聯席分会(乗聯分会)の崔東樹(Cui Dongshu)秘書長が公表したデータによると、今年1~7月の自動車業界の利益率はわずか3.6%だった。完成車メーカーに比べ、上流の電池メーカーは高い粗利益率を維持し、自動車産業のサプライチェーンの中でも収益性の高い分野となっている。

ただ、新エネルギー車メーカーにとって、利益は問題の一面にすぎない。より大きな懸念は、電池をめぐる主導権にある。市場調査会社SNEリサーチ(SNE Research)のデータによると、2026年上半期、CATLの世界の車載電池搭載量に占めるシェアは40%近くに達した。これは、生産能力の配分や技術の方向性、供給の優先順位などでCATLが強い影響力を持ち、自動車メーカーの生産計画も電池メーカー側の生産能力の配分に左右されることを意味する。

完成車メーカーが感じているのはコスト面の圧力だけではない。外部の電池メーカーに供給を左右されるリスクもある。そのため、多くのメーカーがCATLへの依存を減らそうとしている。

コスト削減のため複数の電池メーカーから調達する企業もあれば、より難易度の高い自社開発を選ぶ企業もある。ただ、その根底にある目的は共通している。電池をめぐる主導権を自ら握ることだ。

ガソリン車の時代、エンジンは完成車メーカーにとって中核となる技術であり、それを自社で掌握することが競争力や主導権につながった。新エネルギー車の時代には、電池を自らコントロールすることが同様に重要になっている。

「自動車メーカーが電池開発に関与するのは、本質的には完成車全体の競争力を高めるためでもある」。崔東樹氏は「三里河中国経済観察」の取材にこう語った。「自動車メーカーによる電池の自社開発を、単純に『電池メーカーの利益を取り戻すため』と捉えるべきではない。産業チェーンが長期的かつ健全に発展するためには、専門分野ごとの役割分担と、各社が共同で価値を生み出すことが依然として必要だ」

一方、CATLへの依存を減らす動きには、電池の品質をどう確保するかという課題も伴う。実際、複数の電池メーカーから調達するようになった一部の自動車メーカーでは、異なるメーカーの電池を同一車種に搭載することによる品質管理の問題が、業界内でたびたび議論されている。

崔氏は、現在より注目すべきなのは、自動車メーカーが電池に関する技術力をどこまで高め、それに伴う技術面・品質面の責任をどのように担っていくかだと指摘する。
車載電池は、車両性能やユーザー体験、安全性を左右する重要なシステムだ。航続距離、急速充電、安全性、寿命はいずれも車両開発と密接に関係しており、自動車メーカーには車両のライフサイクル全体を通じた総合的な効率を高めることが求められるという。

電池メーカーにとっても、自動車メーカーが電池の自社開発・生産能力を強化することが、必ずしも大手電池メーカーの衰退につながるとは限らない。むしろ、自動車メーカーと電池メーカーの間に新たなバランスが生まれ、中国の自動車産業全体で各社が適切に利益を分かち合い、協調して発展する構造へと移行する可能性がある。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News