【10月5日 AFP】米連邦最高裁判所のサミュエル・アリート判事(76)は4日、判決に対する厳しい世論や政治的圧力により、最高裁の未来を懸念していると危機感を募らせた。

最高裁は近年、数十年にわたり認められていた連邦レベルでの人工妊娠中絶の権利を撤廃したほか、退任後に4回起訴されたドナルド・トランプ大統領に対し、在任中の公的な行為に関する広範な免責権を認めるなど、米社会の根幹を揺るがす判決を下してきた。

最高裁は伝統的に米国の政治的混乱や対立を超越した存在とみなされてきたが、最近の世論調査では不人気や不信感が高まっていることが示されている。

また世論や政治的な圧力も強まっており、とりわけトランプ氏自身が、関税から出生地主義による国籍取得に至るまで、最高裁がどのように判断すべきかについて大声で主張する異例のキャンペーンを展開している。

自身が指名した裁判官が不利な判決を下した際、トランプ氏は名前を挙げて「忠誠心がない」と激しく批判してきた。

自著の出版に伴う貴重なインタビューに応じたアリート判事は、米フォックス・ニュースに対し、保守派が多数を占める最高裁の9人の裁判官は公人の発言を無視するよう努めていると語った。

「裁判所に影響を与えて判決を左右させようと、最高裁や判事たちを威圧する組織的な動きが存在する」と同氏は述べ、「私は最高裁の未来を懸念している」と続けた。

トランプ氏にさまざまな問題で広範な裁量を認めた一連の判決への不満に加え、クラレンス・トーマス判事ら複数の判事が長年にわたり富裕層から高額な贈り物や豪華なもてなしを受けていたことが発覚するなど、最高裁の倫理的な問題をめぐり、多くの国民が怒りを募らせている。

先週発表されたギャラップの世論調査によると、最高裁に対する国民の評価は、1972年に同機関が調査を開始して以来最も低い水準となっている。

ギャラップによると、最高裁の仕事を評価すると答えた米国の成人はわずか34%で、過去最低を記録した7月の33%とほぼ変わらなかった。(c)AFP