【10月7日 CNS】ラブブ(LABUBU)の人気が落ち着き、「星星人(Twinkle Twinkle)」が台頭する中、経営陣は成長ペースを意図的に抑え始めた。中国のデザイナーズトイ大手、ポップマート(Pop Mart)は「経営調整」の一年を迎えているのだろうか。

多くの消費関連企業にとって、売上高171億7300万元(約4兆340億円)、前年同期比23.8%増、親会社株主に帰属する純利益50億3800万元(約1183億4665万円)という数字は、十分に好調な中間決算といえる。

ポップマートがこのほど発表した2026年上半期決算も、消費関連業界の中では際立った内容だった。しかし、資本市場の反応は厳しかった。翌日の取引開始後、株価は一時8%以上急落し、約5か月ぶりの安値をつけた。最近は153香港ドル(約3076円)前後で推移しており、過去最高値の337香港ドル(約6775円)から半値以下に下落している。

市場も、ポップマートが依然として利益を上げていること自体を否定しているわけではない。問題は、その利益が市場予想を下回ったことだ。市場では売上高199億8000万元(約4693億4618万円)、純利益66億4000万元(約1559億7891万円)が予想されていたが、実績はそれぞれ約28億元(約657億7424万円)、約16億元(約375億8528万円)下回った。

業績の予想未達以上に投資家を不安にさせたのが、ラブブ人気の勢いが鈍っていることだ。ラブブが属する「THE MONSTERS」シリーズの上半期売上高は44億5400万元(約1046億2802万円)で、依然としてIP別では首位だったものの、前年同期比7.5%減となった。売上高に占める割合も前年同期の34.7%から26%に低下した。ラブブが大ヒットIPとなって以降、売上高が前年同期を下回るのは初めてだ。

二次流通市場では、さらに明確な変化が表れている。今年6月25日に発売されたラブブの「レトロ理髪店」シリーズのブラインドボックスは、これまでのような発売直後の完売や大幅なプレミア価格とは異なり、複数の通常商品が発売後まもなく公式販売価格を下回るという珍しい現象が起きた。

◾️「星星人」が台頭、海外市場には課題も

ラブブの減速を、新たなIPが補いつつある。2024年に初の商品が発売された「星星人」は、上半期の売上高が26億5000万元(約622億5062万円)に達し、前年同期比580%以上増加。IP別売上高で2位に浮上した。CRYBABY、DIMOO、SKULLPANDAもそれぞれ15億元(約352億3620万円)を超える売上高を記録した。

IPの構成は確かに分散が進んでいる。ラブブの売上高に占める割合は26%まで低下し、単一IPへの依存度は下がった。ただ、「星星人」の急成長が今後も続くかは分からない。欧米市場での受け入れはラブブほど進んでいない一方、海外市場はポップマートの次の成長を左右する重要な市場だ。中国国内で成功したIPが、ラブブと同じような世界的ヒットになるとは限らない。

ポップマートの最高執行責任者(COO)、司徳(Si De)氏も、昨年SNS上のブームをきっかけに流入した多くのユーザーが離れつつあると認めている。海外では顧客層も運営体制もまだ成熟しておらず、急成長期が終わると、十分な顧客基盤が蓄積されていないため、アクセスや売り上げが落ち込んだという。

こうした状況について、ポップマート創業者の王寧(Wang Ning)氏も率直に認めている。王氏は決算説明会で「今年は年初に設定した20%の成長目標を達成できない可能性が高い」と述べた。同社は2026年を「経営調整の年」と位置付け、売り上げの拡大を最優先事項とはしない方針だ。

こうした率直な発言は企業経営者としては珍しいが、資本市場の反応は厳しい。著名投資家の段永平(Duan Yongping)氏は「短期的なことは気にしない」としているものの、多くの投資家にとって短期的な成長も重要だ。高成長を続けてきた企業が自ら「目標を達成できない」と表明すれば、企業価値の見直しにつながるのは避けにくい。

「エモーショナル消費」とも呼ばれる、感情的な満足感を重視する消費市場の動向を踏まえると、ポップマートの成長ストーリーが今後も続くかどうかは、三つのポイントにかかっている。

第一は、ヒットIPを継続的に生み出せるかだ。「星星人」の台頭は、ポップマートのIP育成が一つの偶然だけに頼ったものではないことを示した。ただ、売上高3億9000万元(約91億6141万円)から26億5000万元(約622億5062万円)へと急拡大した後も、長期的な人気を維持できるかは未知数だ。

第二は、海外市場が再び成長軌道に乗れるかだ。海外売上高の減少は、ほぼオンライン販売の落ち込みによるもので、実店舗の縮小によるものではない。海外店舗が約200店まで拡大する中、オンラインで失われた顧客を実店舗が取り込めるかが、グローバル展開の今後を左右する。

第三は、経営陣が意図的に成長ペースを落とす戦略が、より健全な成長につながるかだ。王氏は2026年を、レーシングカーが「ピットインしてタイヤを交換する」時期に例えている。この調整によってポップマートがさらに長く走り続けられるのかは、今後の推移を見る必要がある。

ラブブの熱狂は落ち着きつつあるが、ポップマートの物語が終わったわけではない。デザイナーズトイ業界で重要なのは、一つのIPが永遠に人気を保つことではなく、次のヒットIPを継続的に生み出せるかどうかだ。

そう考えれば、ラブブ人気の一服は、ポップマートの真価が問われる局面でもある。同社は一度の幸運な大ヒットで急成長した企業なのか、それとも世界的なIPを継続して生み出せる仕組みを持つ企業なのか。その答えが、これから問われることになる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News