9月29日、韓国・京畿道坡州市の南北境界地域から見た韓国と北朝鮮の監視所で、それぞれ警戒任務に当たる兵士(c)news1
9月29日、韓国・京畿道坡州市の南北境界地域から見た韓国と北朝鮮の監視所で、それぞれ警戒任務に当たる兵士(c)news1

【10月04日 KOREA WAVE】北朝鮮が非武装地帯(DMZ)の軍事境界線(MDL)周辺で進めている「境界線要塞化」が完了すれば、鉄柵や地雷、軍事施設がMDL近くに集中し、DMZが持つ実質的な緩衝機能が弱まる可能性があるとの分析が出ている。

韓国軍当局によると、国防省は北朝鮮が2024年から進めている要塞化工事が2028年ごろに完了するとみている。2026年8月時点で、約250キロに及ぶMDL区間の更地化は約90%、鉄柵や地雷原の設置は30~60%程度まで進んだと評価している。

北朝鮮はキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が2023年末に南北関係を「敵対的な二つの国家」と規定した後、2024年4月からMDL周辺で更地化や鉄柵・防壁の設置、地雷埋設、戦術道路の建設などを続けている。韓国国防省は、こうした工事が休戦協定に定められた緩衝地帯を縮小・解体する行為だとみている。

専門家からは、要塞化が完了すればDMZの軍事的な性格そのものが変化する可能性があるとの指摘が出ている。

韓国国防研究院のユ・ジフン研究委員は、北朝鮮が鉄柵や地雷原、防壁、戦術道路などによって事実上の物理的な境界線をより明確に構築する空間へ変わる可能性があると分析。DMZ自体の幅が変わらなくても、軍事施設がMDLに近づけば実質的な緩衝空間が縮小する可能性があるとした。

休戦協定ではMDLを基準に南北それぞれ約2キロがDMZに設定されている。韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ事務総長も、北朝鮮がこの空間に戦術道路や鉄柵、防壁、地雷などを設置することで、緩衝機能が弱まる可能性があると指摘した。

韓国国家戦略研究院のキム・デヨン軍事専門研究委員は、緩衝空間が縮小すれば状況を判断し対応する時間も短くなり、偶発的な衝突を管理することが難しくなるとの見方を示した。

要塞化工事が進む中、北朝鮮軍によるMDL越境も増えている。国防情報本部によると、北朝鮮軍は2026年8月に20回余り、9月に30回余りと、2カ月で計50回余りMDLを越えたと評価されている。韓国軍は北朝鮮軍がMDLを越えた場合、警告放送と警告射撃で退去させている。

ユ研究委員は、繰り返される越境の相当数が、地雷埋設や鉄柵・防壁の設置、戦術道路建設など大規模な工事と関連している可能性を指摘。一方で、すべてを工事中の単純なミスとみなすべきではなく、北朝鮮が韓国軍の監視・対応態勢を確認している可能性なども排除できないとした。

最近、西部戦線で発生した地雷爆発事故も新たな危険として挙げられている。国連軍司令部は現地調査でMDLの南側から北朝鮮軍が製造した対人地雷を確認し、休戦協定違反と判断した。

要塞化が完了すれば工事部隊による偶発的なMDLへの接近は減る可能性があるものの、地雷や障害物、監視装備、兵力がMDL付近に集中することで、別の形の危険が増すとの見方もある。

専門家は韓国軍について、北朝鮮と同様に施設を前方配置するのではなく、変化するDMZの環境に合わせて監視・偵察、地雷への対応、兵士の安全や防護能力を強化する必要があると指摘している。

韓国国防省も北朝鮮のMDL周辺での動きに対応し、人工知能(AI)を活用した一般前哨(GOP)警戒システムや偵察無人機、地上監視装備などの戦力化を進めている。

ユ研究委員は、要塞化完了後のDMZについて「危険がなくなる空間というより、危険の形が変わる空間になる可能性が高い」とし、監視・偵察や地雷への対応、兵士の安全、偶発的な衝突の防止と対応態勢を併せて強化する必要があると述べた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News