[KWレポート] 韓国・定年延長の届く人、届かない人 (上)…定年65歳に延ばしても、職場を去るのは52.9歳
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【10月03日 KOREA WAVE】韓国で法定定年を現在の60歳から65歳に引き上げる議論が進んでいる。しかし、実際には多くの労働者が定年前に退職しており、定年年齢を引き上げるだけでは雇用期間の延長につながらないとの指摘が出ている。
韓国国会未来研究院によると、2026年5月の調査で、55~79歳の人が生涯で最も長く勤めた職場を退職した平均年齢は52.9歳だった。
退職理由は事業不振や操業停止、休廃業が24.9%で最も多く、健康悪化が22.1%、家族の介護などが15.2%と続いた。定年退職は13.2%にとどまった。
中小ベンチャー企業研究院の分析では、今後5年間に定年延長の影響を受ける55~59歳の正規労働者は176万7000人。このうち62万8000人は定年制度のない事業所に勤めている。
韓国銀行も2025年の報告書で、2016年に導入された60歳定年の義務化による雇用増加は、労働組合のある大企業に集中したと分析した。賃金制度を調整せずに定年を延ばした結果、早期退職の促進や新規採用の縮小といった副作用も生じたという。
同報告書では、高齢労働者が1人増えると、23~27歳の若年労働者が0.4~1.5人減少したと推計している。
こうした状況を背景に、定年退職後に新たな雇用契約を結ぶ「再雇用」が代替策として注目されている。企業は賃金や労働時間、職務を調整しながら熟練人材を活用でき、労働者も職歴を継続できる。
与党「共に民主党」の定年延長特別委員会が6月にまとめた草案にも、定年延長と併せて再雇用義務の対象年齢を2035年までに65歳へ引き上げる案が盛り込まれた。
ただし、再雇用の対象者を誰がどのように決めるかは争点となる。ソンギュングァン大学のキム・ドクホ教授は、全員の再雇用を原則とするのではなく、企業が必要とする熟練人材を選べる制度にすべきだとの見解を示した。
韓国では政府も「高齢者継続雇用奨励金」を設け、定年後の再雇用を支援している。対象企業には労働者1人当たり四半期ごとに90万ウォン(約9万9000円)、首都圏以外では120万ウォン(約13万2000円)を最長3年間支給する。
しかし、支援対象の事業所は2022年の3028カ所から2025年には2271カ所へ25%減少。対象労働者も7994人から7698人へ減り、支給額は226億3000万ウォン(約24億9000万円)から204億9000万ウォン(約22億5000万円)に減少した。
特に従業員50人未満の事業所では、支援対象が2400カ所から1613カ所へ32.8%減少した。一方、50人以上の事業所は628カ所から658カ所に増加しており、企業規模による格差が浮き彫りになっている。
「共に民主党」のパク・ヘチョル議員は、小規模事業所ほど手厚く支援する制度への改善が必要だと指摘した。
海外では、日本が65歳までの雇用確保を企業に義務付けている。2025年6月時点で従業員21人以上の企業の99.9%が対応しており、継続雇用制度の導入が65.1%、定年延長が31.0%、定年廃止が3.9%だった。
日本の65歳以上の就業者は2025年に943万人と過去最多を記録。65~69歳の就業率は54.5%、70~74歳も36.2%に達した。
米国と英国には原則として定年制度がない。ドイツは1964年以降に生まれた人の年金受給開始年齢を67歳に引き上げ、受給を1カ月遅らせるごとに年金額が0.5%増える仕組みを設けている。
シンガポールは2026年7月、法定最低定年を64歳、再雇用年齢を69歳に引き上げた。企業には一定の条件を満たす労働者への再雇用契約の提示を義務付け、政府が賃金の一部を支援する。
韓国の労使発展財団のパク・ジョンピル事務総長は、労使だけでなく元請け企業や協力会社、地域社会も参加する社会的対話を通じて、職場の実質的な変革につなげる必要があると指摘している。
(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News