韓国の検察改革に「スズメ駆除」の教訓…検事1人当たりの未処理事件が2倍超に増加 [韓国記者コラム]
このニュースをシェア
【10月01日 KOREA WAVE】毛沢東が1958年、稲の籾をついばむスズメを指して言った言葉だ。このあきれた断定は、中国全土を席巻した「スズメ撲滅作戦」のスローガンとなった。軍人も農民も学生も、こぞってほうきや棒を手にし、スズメを叩き殺した。蚊、ハエ、ネズミ、スズメを、病気を運び穀物を食い荒らす4種類の有害動物に指定し、駆除する「除四害運動」だ。
スズメがいなくなれば豊作になるという中国共産党の予測は、完全に外れた。撲滅作戦が頂点に達した1958年だけで、中国では2億羽のスズメが駆除された。すると、スズメが食べていたイナゴや害虫が田畑にあふれ、中国史上かつてない凶作が襲った。1958年から1961年までの大飢饉で餓死した中国人だけでも、4000万人に上ると推定されている。
68年後の韓国では、「K-除四害運動」が繰り広げられている。捜査権と起訴権を一手に握り、別件捜査や標的捜査を繰り返してきた検察が標的となった。その罪により、検察庁は78年ぶりに幕を閉じることになり、検事は捜査権を失った。しかし、与党側は検事の数をさらに減らすよう求めている。検察の権限ではなく、検事そのものを「有害なスズメ」と名指しした格好だ。
共に民主党の論理は明快だ。捜査と起訴の分離によって公訴庁検事の捜査権が完全に廃止されたにもかかわらず、検事の法定定員(2292人)を減らさないのは国民に対する抵抗だ、という主張である。公訴庁が検察庁時代の規模を維持すれば、今後、組織改編や法令解釈を通じて迂回的に再び捜査権を握ることができるという不信感も、その背景にあるのだろう。
しかし、捜査権を廃止したからといって、検事が処理しなければならない事件まで減るわけではない。全国の検察庁のキャビネットに積み上がった未済事件は16万件を超える。10月になれば、その相当数が警察や重大犯罪捜査庁などの捜査機関に移され、一時的に仕事が減ったように見えるかもしれない。だが、捜査が終われば記録は公訴庁に戻ってくる。結局、検事がそのまま再び引き受けることになる事件だ。
検事が減れば減るほど、残された検事が担当する事件は増える。検事1人当たりの平均未済事件数は、2025年4月の72.1件から2026年3月には173.8件へと、2倍以上に急増した。検事も人間である以上、限界はある。2025年にはそれぞれ約2万件、約1万件だった3カ月・6カ月超の長期未済事件は、2026年にはそろって3万件を超えた。事件の結論だけを今か今かと待ち続ける国民の苦痛が、それだけ長引くことは火を見るより明らかだ。
残業や週末勤務が常態化しているというソウル中央地検のある公判担当検事は、山のように積み上がった記録の山を見ながら、「自分の事件を適当に処理してほしい人なんていないでしょう。結局は誰かの人生なのです」と語った。法務省が共に民主党の強い要求に押され、「検事定員の縮小」を約束しながらも、削減規模だけは最後まで明言しなかった胸の内も、これと違わないのだろう。
改革の刃が向かうべきなのは、社会正義を損なう権力の乱用であって、働く検事まで切り捨ててはならない。毛沢東は除四害運動の副作用を認めなかったため、さらに大きな災いを招いた。結局、中国共産党は除四害の対象からスズメを外してトコジラミに替え、ソ連からスズメ20万羽をひそかに輸入したという。共に民主党式の検察改革の副作用が現実のものとなった時、消えた検事をどこから輸入するのか。【news1 チェ・ドンヒョン記者】
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News