【三里河中国経済観察】香港、「一帯一路」で中国企業の海外進出を支援
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【10月5日 CNS】9月9~10日、香港で第11回「一帯一路(Belt and Road)サミット」が開催された。今回は初めて、企業の海外展開をテーマとする特別セッションが設けられ、中央アジアと中東を対象としたセッションも併設された。中国本土企業による「一帯一路」共同建設国の新興市場開拓に向け、プロジェクトのマッチングや専門サービス、リスク相談などを一体的に提供する狙いだ。
「第15次5か年計画(2026~2030年)」が始動する中、中国本土と世界を結ぶ香港の役割が改めて注目されている。現在、中国本土企業が海外に設立した企業は約5万8000社に上り、現地で年間200万人を超える雇用を生み出している。対外投資残高は3兆4000億ドル(約円)に達し、その約9割がグローバルサウス諸国に向けられている。新興市場の重要性が高まる一方、企業の海外進出では各国の法律や制度の違い、資金調達、言語や商習慣、現地ネットワークの不足などが課題となっている。
今回新設された海外展開セッションでは、中小企業や実業分野を中心に、投資案件、専門サービス事業者、海外の政府・企業関係者を直接結び付けた。オンラインでのマッチングも実施し、商談を具体的な事業につなげることを目指している。
香港は国際金融センターとして、資金調達に加え、法律、会計、仲裁、コンサルティングなどの専門サービスが集積している。中国本土企業が海外市場に進出する際、法令順守や契約、紛争解決などを支援できることが強みだ。
金融面でも、香港は世界有数のオフショア人民元市場を持つ。「一帯一路」に参加する企業のうち100社以上が香港証券取引所に上場し、時価総額は計3400億香港ドル(約円)を超える。株式や債券による資金調達、シンジケートローン、為替ヘッジなど幅広い金融手段を利用できる。
また、香港は東南アジア諸国連合(ASEAN)、中東、中央アジア、中南米などとの経済関係を拡大している。香港特別行政区政府も各国への経済・貿易代表団の派遣を続けており、近年では李家超行政長官が代表団を率いて「一帯一路」共同建設国13カ国を訪れ、250件を超える協力覚書の締結につなげた。
企業への直接的な支援も強化している。香港特区政府が設置した中国本土企業の海外進出支援チームは、政策相談、香港での法人設立、市場とのマッチング、関係機関の紹介などを提供し、これまでに300社を超える中国本土企業の香港進出や事業拡大を支援した。
今後は、今回の海外展開セッションを継続的な仕組みに発展させ、中央アジア、中東、中南米、ASEANなど地域別の支援を強化することが提案されている。グリーンインフラやデジタル経済、新エネルギーなど成長分野での協力を拡大するとともに、法律、金融、保険などを組み合わせた企業支援の充実も課題となる。
さらに、中国本土、香港、「一帯一路」共同建設国を結ぶネットワークを強化し、粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア、Guangdong-Hong Kong-Macau Greater Bay Area)の製造業やグリーン技術、デジタル技術を香港経由で海外市場につなげる構想も示されている。
一方、海外進出には地政学、法律、為替などのリスクも伴う。香港の国際的な情報網や専門サービスを活用し、進出先の政策や市場動向を把握するとともに、事前のデューデリジェンスやリスク管理を徹底することが求められる。
香港は従来の中国本土と世界を結ぶ「スーパーコネクター」に加え、金融や法律、リスク管理、市場開拓などを通じて企業に新たな価値を提供する「スーパー・バリューアダー」として、中国本土企業の海外展開を支える役割を強めようとしている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News