【10月6日 CNS】中国製の電気バスが、エチオピアの首都アディスアベバの街を走っている。

東アフリカ高原に位置するエチオピアは豊富な水力資源を持つ一方、石油の多くを輸入に依存し、年間約60億ドル(約9325億8000万円)の外貨を費やしている。電気バスや電動大型トラック、車両の天然ガス化、現地での技術研修など、中国企業との協力を通じて電力の活用を進め、輸入石油への依存を徐々に減らしながら、産業のグリーン化を進めている。

同様の課題は多くのグローバルサウス諸国が抱えている。エネルギー、インフラ、産業高度化、デジタル化はいずれも早急な対応が求められる発展上の課題だ。

エチオピアは2024年、新興5か国(BRICS)の正式加盟国となった。BRICSは同国にとって、発展のパートナーを探し、協力の可能性を広げるプラットフォームとなっている。

当初の「BRICs」4か国から現在の「拡大BRICS」へ。協力の枠組みが発足して20年を迎え、BRICS諸国はグローバルサウスの主要な存在となった。人口は世界の約半数、経済規模は世界全体の約30%を占め、世界貿易における存在感も高まっている。

なぜ「拡大BRICS」は成長を続けているのか。中国国際問題研究院の王友明(Wang Youming)研究員は三里河中国経済観察の取材に対し、「BRICS諸国が集まったことは一見偶然のようだが、実質的には歴史の必然だ」と指摘する。加盟国は国情や政治体制、価値観が異なるものの、公正で合理的な国際秩序と国際システムの構築という共通の目標を持っているという。

中国現代国際関係研究院の研究員で、BRICS・G20研究センター主任を務める徐飛彪(Xu Feibiao)氏は、「BRICSは安全保障組織でも政治同盟でもなく、第三国を対象とするものでもない。経済発展と協力を中心に、主権の平等と友好的な協議を重視し、異なる国々が違いを超えて協力できる余地を探る枠組みだ」と説明する。

中国もこの枠組みの中でさまざまな構想を打ち出してきた。「BRICSプラス」の協力モデルを提唱したほか、「一体化した大市場、多層的な大流通、陸海空の大連結、文化の大交流」という四つの目標を掲げ、「平和のBRICS」「イノベーションのBRICS」「グリーンBRICS」「公正なBRICS」「人的・文化交流のBRICS」の構築を提唱してきた。

徐氏は、中国は世界第2位の経済規模を持ち、巨大な市場や資源、生産能力を備えるとともに、高水準の対外開放を続けており、各国との幅広い経済協力がBRICSの結束を支える利益のつながりになっていると指摘する。

BRICSの協力が深まるにつれ、貿易や投資、金融、サプライチェーンなど加盟国間の共通ニーズが増え、協力分野も広がっている。今年5月には、BRICS加盟国やパートナー国など20か国以上の代表と国際機関の関係者が福建省(Fujian)アモイ市に集まり、スマート製造のエコシステム構築について意見を交わした。AIやデジタル技術などの新産業が新たな協力分野となる一方、規格や認証制度の連携もBRICSの経済・貿易協力の対象となっている。制度やルールの接続が進めば、企業の国境を越えた取引コストの低減にもつながる。

金融面での支援も進む。2025年末までに、BRICSが設立した新開発銀行(New Development Bank)が承認した融資は累計420億ドル(約6兆5280億円)を超えた。新興市場国や発展途上国にとって、インフラ整備などの開発事業に新たな資金調達手段を提供している。

産業技術から金融支援まで、BRICS諸国はそれぞれの発展ニーズをより大きな協力ネットワークにつなげようとしている。グローバルサウスにとって、その意義は貿易相手が増えることだけではない。産業高度化やデジタル転換、インフラ整備など共通する課題に対し、互いの強みを活用できる機会が増えることにもある。

王氏は、「拡大BRICS」の発展によって、グローバルサウス諸国は世界のガバナンスにおける「脇役」から、より重要な存在へと移りつつあるとの見方を示す。

1台の電気バス、1件のプロジェクト融資、そして一つの規格の連携。その背景には、それぞれの国が抱える具体的な発展ニーズがある。こうした需要がBRICSの協力を通じて満たされることで、南南協力も具体的な形となっていく。

グローバルサウスの存在感が高まる中、BRICSの協力も新たな段階へと進んでいる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News