【10月2日 東方新報】中国・湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)の大澤湖OPC(一人会社)創業センターの個室オフィスでは、愛店智盈(長沙)データ科技の創業者・張智(Zhang Zhi)氏を含む5人のチームが、AIを活用して開発したソフトウェアを使い、500店舗を超える飲食企業約10社のデリバリー事業向けに、リアルタイムのデータ収集・分析、判断・意思決定支援、専門的なアドバイスなどを提供し、経営の効率化と収益向上を後押ししている。「私たちはOPCの『スーパー個人』が集まってできた『スーパーチーム』です」と張氏は話す。

中国の「全国OPC発展観察報告(2026)」によると、今年上半期、中国のOPCコミュニティは95か所から618か所へと増加し、24省・75都市に広がった。湖南省は、中国のコンピューティング分野で唯一の国家級先進製造業クラスターを擁し、CPUやOS(基本ソフト)といった情報技術の中核技術で厚い蓄積を持ち、「一人会社」に対して自主管理が可能で低コストな計算力の支えを提供している。大澤湖OPC創業センターは湖南省初のOPC創業拠点であり、「一人一台の機材、一人で一つの軍隊、身軽に夢を追う」という新たな起業モデルを模索している。

大澤湖OPC創業センターの第1期、4000平方メートルの空間には、個室オフィス、オープンな作業スペース、共用サービスエリア、スマート会議室などの設備が揃っており、約800人の「スーパー個人」を収容できる。オフィス空間の提供、計算力の確保、資金補助から、事業機会の開放、行政手続きの代行、投融資のマッチングまで、同センターは事業のあらゆる段階を支援する体制を整えている。

湖南海創招商運営有限公司企業サービス部副部長の呉烽(Wu Feng)氏は、「大澤湖OPC創業センターは、地元の産業体系にしっかりと寄り添い、『AI+教育』『AI+ソフトウェア開発』『AI+越境EC』といった分野に重点を置き、OPC起業家が集まる拠点づくりを進めている」と語る。

湖南省のOPCの発展は、産業団地が強く主導するという特徴を色濃く見せている。この「団地+コミュニティ」というモデルによって、起業家は無料の作業スペースを利用できるだけでなく、その空間の中で川上・川下が連携する産業のミニ生態系を築くことができる。上の階と下の階がそのままサプライチェーンの上流と下流であり、扉を出れば仲間がいる、という環境だ。

空き店舗や未利用の商業スペースを改装して作られた望城区の創沙洲OPC街区では、この効果が特に顕著だ。ここには「AI+ドラマ漫画」「AI+EC」「AI+新興メディア」といった分野のOPC革新チームが20社余り集まっている。定期的に開かれる人材交流会や、オンライン学習コミュニティ「創沙洲AI充電群」が、「一人会社」を営む起業家たちの孤独感を効果的に和らげている。

「このエリアにはAI動画分野の企業が数多く集まっており、いずれも私たちにとって潜在的な取引先になり得ます」。動画の暗号化や盗撮・盗録防止技術の研究開発を専門とする湖南咪呲科技の責任者、楊晶(Yang Jing)氏はこう話す。街区に入居してから、単独で奮闘する苦しさから抜け出し、資源を融通し合いながら共に成長できる起業エコシステムに加わることができたという。

創沙洲プロジェクトチームのメンバー、李昂(Li Ang)氏は、起業家に不足しているのは安定した注文と応用の場だと指摘する。地元では管轄区域内の需要をビジネス上の受注に変え、「起業家が最初の注文を獲得できるよう手助けする」ことをサービスの切り口として、創業間もない企業に事業を軌道に乗せる機会を提供している。現在、ここに根を下ろした「一人会社」群の年間生産額は、2億元(約45億7074万円)を超えると見込まれている。

湖南省のOPCの取り組みは、プロジェクトの育成にとどまらず、新たな可能性の模索でもある。個人が技術によって力を与えられ、エコシステムに育まれ、多様な事業機会によって触発されるとき、ビジネスにおける「一人での戦い」は、恒常的な一つの組織形態へと次元を高めていくのかもしれない。そして「一人会社」の集積地は、この変革の中で「実験場」になりつつある。(c)東方新報/AFPBB News