【10月2日 東方新報】中国の伝統的な書斎文化と、スペインの建築家アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)を思わせる幻想的な空間が融合――。江西省(Jiangxi)婺源県の弦高城景勝地にある「天坑図書館」がこのほどSNSで話題となり、多くの観光客が訪れている。

弦高城景勝地の設計総監、汪万斌(Wang Wanbin)氏は8月30日、「ガウディを思わせる幻想的なデザインは視覚的なインパクトがあり、SNSでも注目されやすい。1000年の歴史を持つ徽州の古城に西洋的な建築を取り入れ、異なる文化の融合によって新しい空間をつくりたいと考えた」と説明した。汪氏はスペインを訪れ、ガウディの代表的な建築を数多く視察した経験を持つ。

天坑図書館は8月10日の開館以来、約20万人が訪れ、SNSでも関連投稿が増えている。特徴的な建築デザインを通じて、徽州の歴史や文化に触れられる施設となっている。

婺源県は江西省上饒市(Shangrao)に位置し、かつて徽州に属した地域で、伝統的な建築や文化が今も数多く残る。徽州は現在の安徽省(Anhui)南部の黄山市(Huangshan)周辺と江西省婺源県一帯にあたる。唐代に始まった弦高城は長く婺源の行政中心地として栄え、古くから商業や文化の拠点でもあった。

2022年末には弦高城の保存・整備事業が始まり、「最小限の介入、最大限の保存」を基本方針に、山や水辺、昔ながらの街路など古城の景観を生かした整備が進められている。

天坑図書館は外から見ると山林に溶け込むように建てられている。外壁には直線や角をほとんど使わず、起伏のある曲線を採用。岩壁から自然に生えてきたような造形が特徴だ。

館内には徽州の地方誌や無形文化遺産の工芸に関する資料、文学書などが並ぶ。宋代の様式を取り入れたトイレも設けられ、馬上、枕上、厠上(移動中、就寝前、トイレ)でも読書をしたという古代中国の読書文化を、現代的な空間に取り入れている。

らせん状の石段を下ると、幾重にも並ぶ書棚の間から暖色の光が差し込み、天井では一定時間ごとにシャボン玉が舞う演出も行われる。広東省(Guangdong)から訪れた潘(Pan)さんは「デザインの一つ一つが新鮮です。古い時代に入り込んだような感覚と現代的なデザインとのギャップが、今の若者の好みに合っていると思います」と話した。(c)東方新報/AFPBB News