左からKT AXエンジニアリング1チームのチェ・ジェヒョク氏、イ・サンフン氏、キム・ウォンテ氏=KT提供(c)news1
左からKT AXエンジニアリング1チームのチェ・ジェヒョク氏、イ・サンフン氏、キム・ウォンテ氏=KT提供(c)news1

【09月28日 KOREA WAVE】企業が人工知能(AI)エージェントを導入する際、多くの時間と人手を要するのはAIそのものの開発だけではない。社内各所に分散するデータベース(DB)や文書、APIを探し出し、AIが利用できる形に加工する作業がプロジェクトごとに繰り返されている。

韓国通信大手KTのAXエンジニアリング1チームは、顧客企業のAX(AIトランスフォーメーション)プロジェクトで直面したこの問題を解決するため、企業内データとAIエージェントをつなぐプラットフォーム「EmberLink」を開発した。実際のプロジェクトでは、従来48人月を要した作業を6人月程度まで削減した。

EmberLinkを開発した「climAX」チームは、2026年に初開催されたKTのAX事業部門の社内ベンチャープログラム「Venture Lab」で大賞を受賞した。

EmberLinkは、企業内に分散するDBやAPI、各種文書をAIが利用できる形式に統合・標準化するプラットフォームだ。開発のきっかけは、チームが顧客企業のAXプロジェクトで繰り返し経験したデータ加工作業だった。

チームが主に担当する保険会社では、約款や商品情報など膨大な文書を扱い、データ構造も複雑だ。AIエージェントを実際の業務に導入するには、多くの事前加工作業が必要になる。

イ・サンフン氏は「AXプロジェクトというと、まずエージェント構築を考えるが、実際にはデータを接続したり、文書をエージェントが理解できる形に変えたりする過程に最も時間がかかる」と説明。以前のプロジェクトと同じ変換作業を次のプロジェクトでも繰り返していることから、標準化の必要性を感じたという。

ある保険会社では、自社だけでなく他社分も含めた約款が39万件に上った。特定のAIエージェント向けにデータを加工しても、別のエージェントで利用するには39万件を再び処理する必要があった。

EmberLinkでは、元データを一度プラットフォームにつなげれば、特定のAIエージェントに依存せず複数のエージェントが共通して利用できる。新たなエージェントを開発するたびにデータを探し、加工し直す作業を減らせる仕組みだ。

climAXチームによると、現在進行中のプロジェクトでは、従来48人月必要だった作業を6人月程度まで削減し、作業量を8分の1にした。文書検索の精度も従来の81%から92%に向上した。

さらに、AIエージェントが業務に必要なツールを選ぶ際に使用するトークン数は、約1万3300から約320まで減少し、約40分の1に抑えた。

チームは今後、EmberLinkの機能を高度化し、事業化の可能性を検証する。KTのAIエージェント開発フレームワーク「AX Suite」と組み合わせ、データの接続・構造化からAIエージェントの開発・展開まで一括して支援する「オールインワンAXプラットフォーム」への拡張を計画している。

データの意味や相互関係を構造化し、AIがより正確に理解できるようにするオントロジーを活用した機能も追加する予定だ。

キム・ウォンテ氏は「AI開発が容易になっただけに、『何を作るか』より『自分たちには何があるのか』を先に考えるべきだ。企業内にはすでに多くのデータがある。それを実際に活用できる形にすることから始める必要がある」と話した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News