デジタル時代に再燃 西安の若者を魅了するフィルム写真
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【9月30日 東方新報】デジタル撮影が主流となった現在、レトロな写真メディアであるフィルムが、古都・西安市(Xi'an)で再び若者たちの人気を集めている。フィルムの現像・スキャンスタジオやインスタントカメラの体験店、新しいスタイルのプリクラ・セルフィー館などが商業施設や大学周辺に次々と登場し、プリント写真は多くの若者にとって、日常を記録し、友情を形に残す新たな選択肢となっている。
西安にあるフィルム体験店には、本格的な暗室が設けられ、フィルムの現像やネガのスキャンサービスを提供している。店内の棚にはさまざまな「ヴィンテージカメラ」が並び、フィルム専用の保管庫も備えられている。スタッフは来店客にフィルムに関する知識を紹介しており、多くの写真愛好家が足を止めて説明を聞いたり、体験について相談したりしている。
西安の大学生、王博軒(Wang Boxuan)さんもフィルムの魅力に引かれた一人だ。「SNSでフィルムによるスナップ写真を数多く見かけ、こうしたゆったりとした記録の仕方に心を動かされました。実際に足を運び、アナログ写真ならではの独特な雰囲気を体験してみたかったんです」と話す。
王さんは「フィルムの魅力は『待つ楽しみ』にあると思います」と語る。中古のフィルムカメラを購入し、さまざまな街角で撮影したほか、暗室体験も予約。現像後には、プリントした写真を友人へのプレゼントとして贈っているという。
西安でフィルム体験店を経営する岳治さんによると、デジタル時代に育った若い世代はフィルムに強い好奇心を抱いており、特に暗室体験が若い客層から人気を集めている。「今回のフィルムブームでは、若者が主な消費層となっています。オンラインとオフラインの両方でカメラやフィルムなどの機材を購入し、日常の何気ない瞬間を記録しています」と岳さんは話す。
デジタル化の波を受け、西安では多くの老舗フィルム現像店がすでに閉店した。しかし現在では、写真愛好家たちが立ち上げた新しいタイプの写真スタジオが次々と登場している。テーマ撮影、フィルムの現像・スキャン、古いネガの修復、カメラのレンタル・販売、その場で撮影してすぐに写真を受け取れるサービスなど、幅広い事業を展開している。
こうしたスタジオには独立した撮影ブースが設けられ、さまざまなテーマの小道具が並ぶなど、若者たちに人気の撮影スポットとなっている。多くの店舗では、紙焼き写真とデジタルデータの両方を提供し、実物を手元に残したいというニーズと、SNSで共有したいというニーズの双方に応えている。
写真愛好家の李昀珊(Li Yunshan)さんは、フィルム写真の価値は、むしろその「制約」にあると考える。気軽に撮影でき、何枚でも連写できるデジタル撮影とは異なり、フィルムには撮影可能な枚数に限りがあり、現像が終わるまで待たなければならない。こうした「制約」があるからこそ、一回一回シャッターを切る行為に、より大きな意味が生まれるという。
フィルム人気の回復は、西安だけで見られる現象ではない。業界関連の統計によると、近年、中国のフィルム市場は持続的な回復傾向を見せており、生産終了から長い年月を経た中国国産フィルムブランドの一部も再び市場に登場し、大きな注目を集めている。
SNSでもフィルム関連の話題が注目を集めており、西安市、成都市(Chengdu)、杭州市(Hangzhou)、南京市(Nanjing)などでは、フィルム体験店や独立系の暗室スタジオの数が年々増加している。陝西省社会科学院の専門家、王暁勇(Wang Xiaoyong)氏は、フィルム復興の背景には、若者たちがスピードの速いデジタル生活からあえて距離を置こうとする動きがあると分析する。ゆっくりと時間をかけ、丁寧に構図を考え、現像を待つ――その一連の過程には独特の儀式性がある。
フィルム特有の粒子感や、一枚ごとに異なる偶然性は、デジタル時代の記憶に、長く大切に保存でき、手で触れることもできる「時間のよりどころ」を与えている。(c)東方新報/AFPBB News