【三里河中国経済観察】中国の電力システム、再エネ拡大で強靱化
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【10月1日 CNS】中国の電力構成が大きく変わりつつある。
中国国家エネルギー局の最新データによると、2026年7月末時点の太陽光発電の設備容量は12億8600万キロワットに達し、初めて石炭火力を上回り、中国最大の電源となった。2026年上半期には、発電量に占める石炭火力の割合が初めて50%を下回る一方、再生可能エネルギーの割合が初めて40%を超えた。今回、太陽光発電の設備容量が石炭火力を上回ったことで、中国のエネルギーのグリーン・低炭素化はさらに一段階進んだ
12億8600万キロワットは、三峡ダムの水力発電所約57か所分の設備容量に相当する。データによると、7月末時点の中国全体の発電設備容量は40億8000万キロワット。太陽光発電はすでに全体の3割以上を占め、その規模はEU加盟国の太陽光発電設備容量の合計をも上回る。北西部に広がるゴビ砂漠から東部沿海地域の工場の屋根まで、太陽光発電設備はこれまでにない速さで各地に広がっている。
中国の太陽光発電産業は、大きな成長を遂げてきた。原材料、製造設備、販売市場の多くを海外に依存しており、産業の主導権を十分に握れない状況にあった。しかし10年余りの発展を経て、中国は現在、世界でも特に規模が大きく競争力の高い太陽光発電のサプライチェーンを構築している。世界で生産される太陽光発電モジュールの10枚に8枚が「中国製」とされる。技術革新によるコスト低下も進み、太陽光発電の発電コストは大幅に下がり、多くの従来型エネルギーを下回る水準となっている。
中国が太陽光発電を積極的に拡大する理由は、環境対策だけではない。その背景には、エネルギー安全保障と産業競争力をめぐる長期的な戦略がある。中国は世界有数のエネルギー消費国だが、石油や天然ガスの海外依存度は依然として高い。地政学的な不確実性が増す中、エネルギーを国内で安定的に確保する重要性は一段と高まっている。
太陽光発電は輸入燃料にほとんど依存せず、太陽光という国内で利用可能なエネルギー資源を活用できる。産業競争力の面では、電気自動車(EV)、リチウムイオン電池、太陽電池は中国輸出の「新三様(新たな三大輸出品)」と呼ばれ、貿易や経済成長を支える分野となっている。
ただ、設備容量で太陽光発電が石炭火力を上回ったからといって、エネルギー転換が完了したわけではない。2026年1~7月、中国の総電力消費量に占める太陽光発電量の割合は13%に達したが、電力供給を支える石炭火力の役割とは依然として差がある。
太陽光発電には、天候や時間帯によって発電量が変動するという課題もある。業界専門家が指摘するように、中国の電力構成が変化する中でも、石炭火力が姿を消すわけではなく、その役割が変わりつつある。従来の「主力電源」から、需給変動に柔軟に対応し、安定供給を支える「下支え役」への転換が進んでいる。
電力システムの安全性と安定性を確保しながら、太陽光などの新エネルギーをどこまで受け入れ、効率的に利用できるかが今後の重要な課題となる。エネルギー転換の成否を左右するのは、特定の電源の設備容量だけではなく、電力システム全体の「強靱性」だからだ。
最近発表された「再生可能エネルギー発展第15次5か年計画」では、第15次5か年計画(2026~2030年)期間中に、電力需要のピーク時に安定して供給できる再生可能エネルギーの発電能力を3億キロワット以上増やす方針が示された。同計画では、中国の再生可能エネルギーが「量の拡大と質の向上、確実な代替を進める新たな発展段階」に入るとの表現も盛り込まれた。
これは、政策の重点が単に「どれだけ設備を増やしたか」から、「必要な時に確実に電力を供給できるか」へと移りつつあることを意味する。さらに長期的な取り組みとして進められているのが、「六つのネットワーク」の整備だ。
水利網、新型電力網、コンピューティング網、次世代通信網、都市地下インフラ網、物流網を相互に連携させながら整備する。エネルギー安全保障を支える基盤として、第15次5か年計画期間中には、新型電力網に5兆元を超える投資が計画されている。
従来の送配電を中心とした電力網とは異なり、新型電力網はエネルギー安全保障を支える「中枢」として、再生可能エネルギーで発電した電力を受け入れ、必要な地域へ送り、効率的に利用する役割を担う。
中国の電力システムをめぐる大きな変革は、まだ始まったばかりだ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News