京畿道のデイケアセンターで運動する高齢者(c)MONEYTODAY
京畿道のデイケアセンターで運動する高齢者(c)MONEYTODAY

【09月28日 KOREA WAVE】韓国で65歳以上の認知症患者が2026年、初めて100万人を超えると予測される中、検査から介護施設への入所、重症化後の治療まで支援体制の「空白」が問題となっている。

ある家族の父親は2022年、77歳で脳梗塞とアルツハイマー病と診断された。保健所で検査を受け、病院を受診したが、日中に父親を預かるデイケアセンターへの入所には1カ月以上かかった。その間にさらに2度の脳梗塞を発症し、片まひも残ったという。

症状が悪化して介護施設を探した際には、男性の認知症患者であることを理由に受け入れをためらう施設もあった。保健福祉省によると、65歳以上の認知症患者は2025年時点で約96万人と推計され、2026年に100万人を突破する見通しだ。

韓国では2017年に「認知症国家責任制」が導入された。全国257カ所の認知症安心センターが早期検査や相談などを担うが、一部地域では人手不足や予約の集中により、精密検査まで2~3カ月待つ場合もある。100万ウォン(約11万円)を超える費用を負担して民間病院を受診するケースもあるという。

2025年末時点で、全国の認知症安心センターのうち必要な人員をすべて確保できていない施設は61.3%に達した。職員の約4割は非正規雇用で、平均勤続年数も4年余りとされる。担当者が頻繁に変われば、長期にわたる患者管理の継続性が損なわれるとの懸念も出ている。

初期から中期の患者を支えるデイケアセンターにも課題がある。全国の90%以上を民間が運営しているが、高い賃料や人件費などが経営を圧迫している。閉鎖した施設は2023年の479カ所から2025年には562カ所に増えた一方、新設は656カ所から630カ所に減った。

都市部では高額な賃料に加え、施設基準を満たす物件の確保も難しい。施設が郊外へ移れば、毎日の送迎そのものが家族の新たな介護負担となる。

さらに、認知症患者の徘徊や暴言などの行動・心理症状(BPSD)が強くなると、受け入れ先は一段と少なくなる。7年間父親を介護してきた家族は、症状が悪化すると施設が受け入れをためらうようになり、公的な療養病院や宗教団体などの施設では1年以上待つのが現実だと話した。

こうした患者は、受け入れ施設を探して転々とする「認知症難民」と呼ばれることもある。重い症状の患者には一般の患者より多くの人手が必要だが、現在の報酬体系では追加の人件費を十分に賄いにくいとの指摘が現場から出ている。

政府は2026年から第5次認知症管理総合計画などを通じ、管理体制の見直しを進めている。専門家は医療と福祉で分断された情報をつなぐとともに、患者を実際に受け入れられる人員と施設の確保が必要だと指摘している。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News